2020.2.8。名古屋から豊橋経由で、豊川稲荷へ。土曜日の昼、新型コロナウイルスの影響だろうか人通りは少なかった。

2020.2.8。通称「豊川稲荷」の開山は1441年曹洞宗の寺として開創されたと言うから、まだ新しの173年前、寒厳禅師が宋からの帰りに、白狐にまたがる霊神が海上に現れ、い。開山守護したという。まさに神仏混合の典型の寺社である。

2020.2.8。霊狐塚のお狐さんの石像。こうして並んでいると圧巻だ。

2020.2.8。豊川稲荷の近くにある徳城寺。本堂の裏には弘法大師ゆかりの「錫杖井戸」があった。早咲きの櫻が咲いていました。

2020.2.8。徳城寺の櫻は、この日もう咲いていた。この時期だと梅の時期なのだが。

本文

令和2年2月4日の深夜、四季四部作・長編歴史時代小説「秋の遠音」を遂に脱稿しました。
構想から資料集め・取材・執筆と十数年かかりました。膨大な時間とコストを費やしました。
大げさに言えば、あらゆる事を犠牲にして仕上げた作品です。四百字詰め原稿用紙で、2600枚ほどです。
「秋の遠音」は、新聞小説のように毎日細切れに読者に発表し、終了後に加筆修正し単行本にするという作品ではありません。全編「書き下ろし」ですから、最後の一行を措くまで、読者の目に触れることは決してありません。作家春吉が「脱稿した」と納得しなければ、コピー用紙(原稿用紙)に書かれた単なる文字の塊として埋もれてしまうだけです。
今は全快しましたが、2年前に病気をしたこともあり、未完のままに終わったら……、という気持ちと常に戦ってきました。
「決して焦らず、自分にしか書けない作品に仕上げよう。万一、完成しなければ、それだけのことだ。それもまた天の差配だ」と腹を括りました。
不思議なもので、そういう心境になると様々な資料が、向こうから飛び込んで来ました。
作品中の主人公をはじめ登場人物の位置がピタリと収まり、バラバラになっていた時空間が繋がり、作中の人物達が際立ってきます。
いわゆる「作中の人物が、勝手に動き出す」という新たなゾーンに入ります。
そうなればしめたもので、作家は恣意性や小賢しさを押さえ、澄んだ水の流れに浮かぶ花びらをそっと掬い取っていけばいいわけです。ただそうはいっても、完結させないことには「物語」として、読者に読んで貰うことはできません。ここ数ヶ月、はやる心を抑え作品を仕上げました。

「秋の遠音」は幕末から明治初期の日本の叙情を丹念に描きました。里村の原風景、四季の移り変わり、自然の厳しさと美しさ、江戸・東京の変遷と庶民の暮らしを楽しんでください。また幕末・明治の思想といわれる水戸学をはじめとした尊王攘夷論の外に、今は忘れ去られた思想・提言を作品に組み込みました。開国以来、激変した経済活動、豹変する政治行動も、作家春吉の視点で記述いたしました。
幕末・明治以降、品格の無い指導者達は、かくも業が深く、浅はかだったのかという思いをあらたにすると同時に、歴史に名をとどめない者達が、真の人倫を支えていることが際立ちます。そこに焦点を合わせた「秋の遠音」はまさに「大河小説」と言うにふさわしい物語です。
戦後、吉川英治、中里介山、山岡荘八、海音寺潮五郎、司馬遼太郎、吉村昭(敬称略)をはじめ、きら星の如くそれぞれの時代を先取りした作家達が、我々日本人に優れた長編歴史時代小説を残してくれました。
この「秋の遠音」は、春吉省吾が令和の時代を生きる方々のために記述した「大河小説」です。 しかし、「今の時代、そんな長いの書いたって、誰も読まねえよ。読むのも疲れる」
この言葉が今の日本の、日本人の民力です。
SNSから発信される「脈絡のない細切れ言葉」や、情緒押しつけの「私小説」に毒され続けると物事をきちっと判断し、取捨選択する能力は衰退し、独善に陥ります。自分の頭で物事を考えないのだから、その渦に巻き込まれてしまうのは当然です。結果、いつも追い立てられ、短絡的で「直ぐキレ」る心情を持つ人が増えています。マス・メディアはその意識をさらに煽り、疲れさせ、挙げ句の果てに簡単に切り捨てます。
春吉省吾が大きなリスクを負い、「四季四部作・長編歴史時代小説」を創作し続けたのはまさにここにあります。
私たちはこの先、否応なしに、答えの無い複雑な世界に立ち向かわなければなりません。
時代は事の本質を自分の意志で観(み)る必要に迫られています。文字を追い、重層的な筋書きの作中の人と人との繋がりを追って、想像力を豊かにすることは、この時代、とても大切なことだと思っています。
私はそういう意識で、令和の大河小説として「秋の遠音」を書きました。そしてこの作品を世に送り出せることを作家として誇りに思います。

ここ1~2年、旅行や研修会、昇段・昇格審査、私の講演会の日を除くと、土日、正月盆もなしで一日12時間、机にかじりついて「秋の遠音」の執筆は勿論、学生時代よりも真剣に、哲学・宗教、経済学(最新の哲学理論、金融理論など)の書籍を読んでいます。働き方改革とは真逆な生き方をしていますが、私なりの使命感を持っていますので実に楽しいものです。
「答えの無い世界に立ち向かうために」我々はどう考え、どう行動すれば良いかと考えています。
四季四部作・長編歴史時代小説をはじめ、これまで上梓した哲理的随筆と、現在構想中の「ダブル・スタンダード」の随筆と、新たに執筆が始まった中編時代小説シリーズ「初音の裏殿」に共通する思想は、内容の硬柔、長短にかかわらず一貫して変わりません。

「秋の遠音」を上梓すれば、四季四部作・長編歴史時代小説の全てが完了します。
「冬の櫻」(上・下)〈2011.8発刊〉、「春のみなも」(上・下)〈2014.5発刊〉、「夏の熾火」(上・下)〈2015.11発刊〉、とあわせてこのシリーズは完了です。加えて幕末・維新長編時代小説「風浪の果てに」を2017・3月に発刊しました。春吉省吾が、校閲、校正を含めて全て独りで作業し上梓したので、初版は誤字脱字が多く、ご迷惑をおかけしました。改定再版では全て修正します。
〈誤字脱字については、忸怩たるものがあります。しかし、取材、資料収集、執筆、編集、校正、印刷・製本指示、PR作成、販売交渉、注文処理、発送と全て何十人分を独りで処理したてきた自分自身を褒めてやりたいと思っています。作品の質は当然のこととして、今までも、これからも、こんなことをする「作家」は、日本人で私だけだと自負しています。〉
「秋の遠音」(上・中・下)の上梓は、 5月の上旬を予定しています。 主人公、吉村土肥助(後の春明)が生まれる21年前の文化3年(1806年)から、吉村春明が 亡くなる明治25年(1892年)まで、幕末・明治初期を含む「激動」を描いた物語です。令和に贈る春吉省吾の「日本の大河小説」をお楽しみに。
2020年 2月27日  春吉省吾ⓒ          ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
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