aki陸奥国下手渡(月舘・川俣・飯野・霊山)と筑後国三池(大牟田市)その隔たり、およそ三百七十里。両方の領地を併せても石高一万石の下手渡藩藩主立花種恭(たねゆき)とその家臣達。幕末、種恭は、大番頭、若年寄、外国奉行を歴任し、慶応四年老中格で会計総裁になるも直ぐ辞任。藩論は西東に二分。側近の吉村春明は周旋のため三池と下手度を嘉永五年から十数回往来した。
藩主立花種恭をはじめ、吉村春明、森泰、塚本源吾などの勤皇の志を持つ家臣と、奥州列藩同盟に調印した下手渡藩城代家老屋山外記の苦悩と葛藤を壮大なスケールで描く。春吉省吾のライフワーク、長編時代小説「四季四部作」最後の「秋の遠音」。深く大きな余韻と静寂をもって物語は完結する。