言挙げぞする

今という地点から視野を遙か遠くに拡げ一万六千年前の縄文時代から近しい歴史を見ると
本質的な誤解があまりに多い。
これを知らないあなたの「明日」は常に不安にさいなまれる。
筆者の具体的な体験を踏まえかつて「言挙げ」することを封印されていた「事々」を集め我々日本人の一人一人が悠々と生きるための哲理的随筆集。

人は「死」を前にしては無力だ。誰もそこから逃れられない。
「死」は万人に共通だが、誰一人として同じ「死」はない。
死があなたを襲った時、借り物の「生死観」では乗り越えられない。
しかし凝っては何も見えない。
日常茶飯の「今」の中に、生きる意味がある。
本気で迷い悩めば生死一如は自ずとそこにある。
私はそう願いつつ各章を書いた。

日本人が明治維新以来、疑いもしなかった「常識」は本当の「常識」ではない。
「人生は四つの『直し』」「勝つにも芸を」「越えてみれはもぐらの山よ」「時世のつみごと」
など、平易な言葉の中にあるべき「歴史観」「宗教観」を織り込んだ。
本書を読めばあなた自身が、あまりに無自覚・無防備だったと驚くに違いない。

春吉省吾

本来このような、哲理的随筆集は、宗教学者や漢学者、哲学者が書くものであろうが、それらの知識を統合して「学際の壁」に遮られずに、相互関連する実学思想が存在しなかった。浅学を顧みずに、哲理的随筆集を上梓した根本理由である。

筆者・春吉省吾がありふれた言葉で紡ぐ「生ききるための18章」からなる、哲理的随筆集です。

●はじめに〈「歴史観」と「宗教観」の見直しを〉 ●むすんでひらいて〈人間の本当の器とは〉 ●勝つにも芸を〈AIと人間の可能性〉 ●「守破離」と鮨職人〈技や芸の基本とは〉 ●凝れば正しさもまた……〈柔らかな発想こそが求められる 〉 ●死にとうない〈仙厓和尚の生への願い〉 ●人生は四つの「直し」〈問題解決のための道筋〉 ●なかいま〈今を生ききる大切さ〉 ●失って得られるもの〈言葉狩りと自主規制 〉 ●気とエントロピー〈生命力を高める方法〉 ●越えてみればもぐらの山よ〈成功も失敗も我が内にあり〉 ●神仏儒の混合〈日本人の行動原理と精神構造 〉 ●道教の影響力〈本当の神道は縄文の中にあり〉 ●儒教の宗教性と仏教〈本当の儒教を知らない日本人 〉 ●清貧か豊かさか〈貧しい民主主義か、豊かな御都合主義か〉 ●絶望の淵から「不二一体」へ〈空海の思想から我々が学ぶこと〉 ●時世のつみ(罪)ごと〈世界視野から戦争責任を考える〉 ●あとがきにかえて〈生死観などについて 〉

長谷川智泉先生は、経営研究会「同根会」を、昭和491年(1974年)に立ち上げられた。
「同根会」の会員一号は、ホンダ創業者の本田宗一郎さん、アシックスの鬼塚喜八郎さんなどである。その後も日本マクドナルドの藤田田さんなど錚錚たる創業者が会員であった。
長谷川先生とは必ずしも、考え方が同じではなかったが、物事をどのように考えてどう実践したらいいかという、実学の基本をしっかりご指導頂いた。
薫陶を頂いて30年、既に長谷川先生は不帰の客となられ、二度とお会いできない。はたして「言挙げぞする」をお読みになったら、完爾として微笑まれたであろうか……。

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