「春吉省吾・歴史作家のへたくそ武道塾」開設

ノーク出版からお知らせ

武術から「身体と精神の融合」を探りたい

 40歳を越えて始めた弓道と居合道、早いもので30年が過ぎました。膨大な各流派の伝書などを読み込んで、日本初の本格的弓道歴史小説「冬の櫻」を書き上げたのは2011年。今から15年前でした。多くの弓道家にお読みいただきました。同時に、剣術の伝書なども収集し、遅まきながら弓道、居合道の本質が、ようやくほんの少しだけ見え始めました。このブログでは、それら「身法」を、数百年前の伝書や最新の運動力学などを交えて様々な視点から論考してみたいと思います。というわけで、新しく「春吉省吾・歴史作家のへたくそ武道術」を開設しました。
今回初めての記事は、渋谷区剣道連盟居合道部会が12月13日(土)に実施する「居合道見学体験会」の告知をいたしました。渋谷区スポーツセンターの第一武道場で開催します。アクセスの良い方は、ぜひご参加ください。限定8名です。申し込みは、上記の「居合道見学体験会」の告知から、また渋谷区剣道連盟居合道部会からも申し込みできます。(ちなみに現在、私は同部会の会長を拝命しております)

 この先、体軸、正中線、丹田、手の内など様々な事例を、武道的見地と科学的見地で、考察していこうと思っています。両者は決して二元に分離されることではありません。
 身体を意識することは、重力がある地球にいる限り、誰でもどこでもできることです。そして、その中心が身体のどこにあるかを意識することは、美しく、力強い身体をつくるのみでなく、精神を安定させ、健康で豊かな人生をつくるきっかけにもなると思います。
「春吉省吾・歴史作家のへたくそ武道術」をお楽しみに。不定期ですが、有意義でわかりやすい記述をしていきたいと思います。

表紙タイトルについて

 タイトル写真の左側は、昭和の「弓聖」と称された阿波研造範士。右側は昭和の「剣聖」といわれた中山博道範士。いずれも弓道、剣道・居合道を囓った方なら知らない方はいらっしゃらないと思うので、詳細な説明は数行に留めます。
 阿波研造範士は、38歳の時、大日本武徳会演武大会で、近的二射、遠的五射、金的、以上全皆中で特選一等、日本一の栄誉を得、翌、大正7年(1918年)には武徳会から弓道教士の称号を授与されますが、「人間学を修める行としての弓」を追求し始め、昭和2年(1927年)に自ら「大日本射道教(大射道教)」を開きました。ドイツ人哲学者、オイゲン・ヘリゲルの師としても有名です。

 中山博道範士は、大日本武徳会から史上初めて剣道範士、居合道範士、杖道範士の三道で範士号を授与された人物です。昭和32年(1957年)、全日本剣道連盟から初の「剣道十段」授与を打診されましたが、十段制度に反対し、受けませんでした。現代剣道の成立に強い影響を与えた指導者ですが、スポーツ的な現代剣道には批判的でした。
中山範士は「恐らく今日の若い修業者は、竹刀で稽古を修めていることと、形や居合等の他の各流の教えとは別個なものであると考えられるに相違ない。これは私等の重大な責任と深く御詫び申しあげて置く次第である」とも述べておられます。

この武道塾での学習範囲

 この「春吉省吾・歴史作家のへたくそ武道塾」では、武道の精神性に関わる問題、つまり禅的な体験、ある種の直感に多く依存するようなことに関しては限定的にしか触れません。沢庵禅師の「不動智神妙録」に代表されるような、武道と禅などの精神性とその実践は、卓越した武術と深い宗教観・禅の素養を兼ね備えた、阿波範士や中山範士などの「命懸けで頓悟した」師の直接の薫陶が必須です。
 同時に自らも儒学、小乗仏教から大乗仏教、そして禅に至る仏教の本質、原始神道などを十分に極めた上で、それらを武術の上で自覚し、実践することが必要です。
 この「歴史作家のへたくそ武道術」の記述者の春吉省吾にはその実力も無く、責任を取ることは出来ません。
 それらに至る道筋は、私の弓道小説「冬の櫻」や「夏の熾火」の主人公の行動に全て集約されて記載してありますので、そちらをお楽しみください。
 ここでの「武道塾」は、あくまで武道と科学的運動力学の融合にあり、健康な日常生活を楽しむための一助です。
 次回以降の「春吉省吾・歴史作家のへたくそ武道塾」をお楽しみください。
                     令和7年11月4日  春吉省吾

管理人
春吉 省吾

令和6年5月現在、全日本弓連連盟・錬士六段、全日本剣道連盟居合・錬士七段。40歳を過ぎて始めた「武道」です。常に体軸がぶれないように、手の内の冴えを求めて研鑽は続きます。思い通り行かず、時に挫けそうになりますが、そこで培う探究心は、物書きにも大いに役立っています。春吉省吾

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