福島民友新聞・平成26年5月3日(土)の朝刊「読書欄」に
春のみなも「幕末小藩物語」 が紹介されました
未来を開く福島藩の娘
故郷との関係を見つめ直したい。そんな思いを抱える人が、震災後は特に増えでいるのではないか。
1950(昭和25)年、福島市生まれの著者が、幕末からの激動を生きるヒロインを通し、故郷と向か
い合った2000枚の書き下ろし小説。書名は同市を流れる阿武隈川を象徴する。
藩政改革を訴え死に追いやられた福島藩の下級武士の娘・初は、家族や友人らの支えで、夫との死別
など乗り越え未来を切り開く。:
背景には藩の財政破綻。養蚕の巨大な利権に絡む役人、商人の暗躍。重税と農村の疲弊。燃え上がる
一揆。
そんな震災後の今に通じる激動と閉塞感の中・、初は、とにかく心が強く腕も立ち行動的。人間的な魅力
で、事なかれ主義と偏狭がはびこる周囲を変えていく。
この土地を知る人にとって特にまぶしいだろう城下や信夫山などの描写も、故郷の再生を願う著者の
思いをくっきり浮かび上がらせている。(ノーク出版・上下巻各2160円)
〈本文記事の儘です〉
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