「29円モヤシ」、我々の覚悟と本冊子の価値。 VOL.58

「29円モヤシの目線で 日本の危機と 生死観を考え直す。」(以降「29円モヤシ」と記述)というタイトルの単行本を7月の末に上梓いたしました。過去の歴史事象から近未来のことについて、世界の中の日本、そして日本という国家で生きている日本人が、何れこうなるという「予測」を記載しています。纏めとして、一人ひとりの覚悟についても記載しました。
本編では多少控えた書き方をしたのですが、今、「29円モヤシ」に記載した事が、次々に「現実」になっています。「当たり前のことを当たり前に考えるとこうなる」というものです。
おそらく、記載した予測は、ほとんど的中すると思います。
近未来は、こうなって欲しくないと望むばかりですが、このままでは決して楽観出来ません。 残念ながら有史以来人間社会は、欲望と覇権で組みあがっています。だから今後もそう簡単に人間の性癖をコントロール出来そうもありません。
「じゃあ、偉そうなことを言う、お前はどうなのだ」という反論に、私個人として、どのような覚悟をもって実践しているかということも「29円モヤシ」の中で記載しました。
勿論、ちっぽけな独りの人間が、思うところを発信しても「蟷螂の斧」「ごまめの歯軋り」で、世界を、日本を変えられるとはつゆ思っていません。しかし、その矜持がなければ「日本人」としてはやはり無責任です。

このところ世界中至る所でヒステリックな行動がやたらと目につきます。世間に対して発言するには、いろいろと検証し反証もあわせて調べ、それでも「こう思う」という事を、責任を持って述べなければなりませんが、どうやらそんな覚悟は全くないようです。
それらの問題は決して「白か黒」かという単純なことで割り切れるものではないのです。
偏った発言をする国家の指導者、政党党首、様々な活動家(人権活動家、市民活動家とか、環境活動家とかの範疇も含みます)のアジテートに対して、しっかりと自分の意見を持っていないと流されてしまいます。しかしそれは、随分と難しいことだと思います。それを取り上げるマスコミは、煽るだけ煽って、抽象論や「そうあるべき論」を述べるだけで決して責任を取らないからです。

「何処の店の何は美味い」とか「インスタ映え」などは愛嬌の範疇ですが、もう少し自分の頭で考えなさいと言いたい。まだ若いのに頭の硬い教条主義者にも困ったものです。それに高齢化が進むと、「頭は空っぽで、やたら元気で切れやすく、平和ぼけで、我欲の塊」のような老人が益々増えます。現に増えています。私自身は決してそうならないように、常に自戒しています。
私事ですが、この半年間、物事の本質は何かと、あらゆるジャンルに興味を持ってストイックな生活を送ってきました。
一日24時間のうち、自宅を離れたり、研修会や病院の定期検診日などで一日潰れてしまうほかは、毎日12時間~13時間、机に坐って、考える時間と読書、執筆に費やしました。睡魔が襲ったときは、その場で30分ほど仮眠します。
弓道と居合の稽古をする以外は、この猛暑の中もウォーキング・ジョギングを続け、筋力低下、体重増加防止をし、惚けないようにしています。こう書くと、とてつもない強靱な肉体を持っているように思われますが、開始の15分ぐらいは、左股関節、捻挫で痛めた左足が痛んでようやく歩けるような状態です。それに耐えて続けると全身が活性化してきます。睡眠時間、入浴時間のほかに、食事の買い出し・食事作り、事務所の掃除など雑用全てをこなし、テレビは、三局同時録画し、必要なものだけに絞って見ます。
これまで地域のボランティア活動(例えば「○○初心者教室」などの指導者として)は、できうる限り時間を調整してやりくりしてきましたが、時間には限りがあります。残された時間を考えると、この先は不義理をせざるを得なくなると思います。
遅くに始めた物書き業は、書きたいことが山ほど残されていますし、そちらを最優先する選択をしないと、作品が仕上がらなくなってしまいます。
現在、長編時代小説四季四部作の最後の「秋の遠音」の最終部分に取りかかっています。
ここまで大変な時間と労力を費やしました。壮大なスケールの物語になると思います。二千枚を超すので、上・中・下の3巻になります。構想し、資料を集め、取材し、新資料が出ればまた書き直しと、なんと10年の月日が流れてしまいました。
地元でも殆ど知られていなかった、下手渡藩の設立の経緯から、その後の、主人公吉村春明の死まで、およそ1世紀の激動の物語です。(文化3年〈1806年〉からの1世紀)
今の日本で、このような書き下ろしの超長編を書いている人間は、おそらく私一人でしょう。 新聞連載の細切れ長編小説ではないので、万が一、私が事故で書けなくなればこの作品は、世間の誰の目にも触れずに埋もれてしまいます。まあ、大げさに言うと「命を削って」書いています。今年中には脱稿いたします。

この半年間、「秋の遠音」「初音の裏殿」の執筆はもとより、AIの事、武道の事、そして中国、朝鮮、香港の情勢など、表層だけでなく、なぜそうなるのかという、人間が営々と積み上げてきた歴史から思想、宗教、地勢などの資料や書籍を読みあさりました。
何れ纏まれば、私見を述べますが、従来の「社会科学」、すなわち、社会現象を研究の対象とする、歴史学、政治学、考古学、宗教学など、日本のプロフエッショナルな方々の「想像力」は大きく欠如し、「学問の殻」に閉じこもったままです。学閥・学域に固執して、統合的に見られなくなっているようです。
かつて作家の松本清張氏が多くの資料を漁り、歴史の謎に迫ったように、例えば中国や朝鮮半島の問題などを、冷静に論ずる専門外の方々が一人でも多く出てきてほしいものです。歴史の時間軸の長短を見据えて、事象を相対的に見ることが出来れば、「歴史」は我々人類にとって、大きなプラスの教材になります。しかし、歴史の期間を限定的に、狭量にしか見られなくなると、そこから学ぶことは少なく、かえって怨念の温床となり、政治の具として利用され、正しい認識は封鎖されてしまいます。
人間の歴史には、一方的な正邪はなく、人間の活動の中で、様々な思惑が入り乱れてその結果作られたものです。その事実を消し去ることは出来ないし、決して忘れてはいけませんが、一部の売名者や狂信的イデオロギー論者、原理主義者が、軽率に事実を誇張し、曲解させると、世界はあらゆる人間を巻き込んで混沌に陥ります。

それにつけても残念なのは、隣国に「反日」を国是とした国々が存在する事です。幼少時から徹底して反日教育されてきた国民と、方や中国や朝鮮半島の「正しい歴史」を全く知らない日本人。一方的に言い負かされ、ただただ相手の主張にうなだれているばかりです。これは、敗戦後の卑屈な日本の教育に大きな問題がありました。しかし、今こそ物事を虚心に深く考えなければならない時期です。
日中関係は「政経分離」から「戦略的互恵関係」にようやくレベルアップしてきましたが、これは中国習近平のしたたかな戦略です。それを承知でお付き合いすればよろしい。
一方韓国は、国民経済が厳しくなると、反日の掛け声とともに剥き出しの感情論が作り出されます。「日本には二度と負けない」などという文在寅の発言には唖然としますが、彼も含めてこれが反日教育の悪しき結果です。しかし歴史的にも長らく中国の冊封体制と戦後の反日教育を受けていますので、なにが「悪しきことか」それすら分からなくなっています。中国の習近平と比較して大人と子供の開きがあります。

「桐一葉落ちて天下の秋を知る」とは、片桐且元の言葉と言われています。片桐は、豊臣家の直参家臣で、関ヶ原の戦い以降も、傅役として豊臣秀頼に仕えていましたが、徳川家康に協力的な立場で、方広寺鐘銘事件で大坂城を退出して徳川方に転じた武将です。言葉の意味はご存じの通り、桐の葉は、他の葉よりも落ち葉が早く散り、秋の訪れをいち早く知ることができることから、豊臣の滅亡を予見したといいます。しかし大局を知った片桐でも、「徳川」の罠に落ちます。
人間の浅知恵では、先の予測は難しいと思うこの頃です。
「29円モヤシ」でも話題にしましたが(23ページ)、世界の債務負債はGDPに対して2倍以上に膨らみ、更に負債が広がっています。もはや金融・財政政策が有効に働きません。
そのような八方塞がりの中、近年、MMT理論(現代貨幣理論)が注目を集めています。自国通貨を自国の中央銀行が発行できるのであれば、いくら政府赤字が膨らんでも、新たな通貨を発行してもいいと考える理論です。まさに日本はそれに近いことをやっています。
只、その均衡が突然破綻する恐れは常につきまとうのです。

リーマンシヨックから10年かかって、世界経済に広がる危機をなんとか回復できたのはG20のように先進国・新興国と、わけ隔てない協力体制があったからです。しかし、米中貿易摩擦に両国の妥協・協調はなく、激しい覇権争いで、消耗戦となっています。
トランプ一人のために、世界はメチャメチャになり、中国政府は世界の「負債」をどんどん増やし、「我が国がバブルになったら、世界も一蓮托生だ」とばかり、あらゆる手段を用いて、強権を緩める事はありません。アフリカは今や中国の属国のような有様です。
中国共産党のぶれない方針は、30年前の天安門事件、ウイグル族弾圧、そして現在の「香港」をみればよくわかるでしよう。今から34年前、香港で2年間ほど仕事をしたことがあります。 現在の香港人たちの出口のない苦しみは、私にとっても人ごとではありません。
しかし中国共産党は「台湾」と「香港」の主権は我にと主張し、どんなことがあってもその主張を通すはずです。その中国に対抗する背後にはアメリカがあり、翻弄される日本があります。
朝鮮半島と日本、日本と中国本土と台湾、そしてアメリカと日本、ちょっとでも均衡が破れると、武力抗争も起こるのです。大量の移民が日本に押し寄せてくるでしょう。そのとき日本はどうするのか、我々一人ひとりが考えなければならないのですが、残念ながら「考えるに足る物差し」がないのです。フィルターのかかった歴史認識を糾さないと、何処までもかみ合いません。
今後、これらの国々と関わっている日本の金融機関、超大手の投資会社などの急激な業績悪化も起こりえます。今そこにある世界経済危機が、日本発、この地域から起こらないことを祈ります。
あわせて、イギリス発EUの経済危機も、何とか理性で回避してほしいものです。
香港の問題もその遠因は、イギリスの逃げにありました。どだい「一国二制度」など一時しのぎに過ぎません。所詮、人間の浅知恵など脆いものです。
我々が想像する以上に、世界経済と個々人の家計とは直に繋がっています。世界経済の混乱は、我々の年金、雇用、日々食する多くの食料品の供給に緊密に影響します。我々はそんな激動の時代に生きています。私の「29円モヤシ」をお読みください。
2019年10月10日  春吉省吾ⓒ

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2019.6.1 都民大会弓道男子団体戦。渋谷区の大将として参加するも、絶不調。ベスト8に残れず、みんなに迷惑をかけてしまいました。「ごめんなさい」引退も考えました。

2019.8.7 福島の奥土湯温泉「小滝館」。右は斉藤文雄君。小学校・中学校の同級生。彼の奥様の実家が「小滝館」。滞在(浴)時間1時間でしたが、とても良い泉質で、貸し切り露天風呂からの眺めは絶景でした。

2019.9.14 東京都城西地区「居合道審判講習会」
の本部席。左が佐藤、睡眠不足と、当日のいろいろで疲れた顔をしています。中央は町田六段、右は司会の生島四段。

2019.9.28 東京駅からまっすぐの道の先にある皇居のお濠に架かる「和田倉橋」。江戸時代の「木橋」の姿が残るのは、「和田倉橋」と「平川橋」のみです。近くで行われた同窓会会場への道すがら。

3ヶ月毎の定期検診。今回も無事、来年の2月で手術から2年。ホッとして、病院近くのデッキから空を見上げる。

管理人
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令和5年1月現在、全日本弓連連盟・錬士六段、全日本剣道連盟居合・錬士六段。40歳を過ぎて始めた「武道」です。常に体軸がぶれないように、手の内の冴えを求めて研鑽は続きます。思い通り行かず、時に挫けそうになりますが、そこで培う探究心は、物書きにも大いに役立っています。春吉省吾

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