夏の熾火

 

「弓道」を愛する日本中の方々にお読み頂きたい小説です。
そして、従来の歴史小説に物足りなさを感じている多くの方々へ、謹んで本書を捧げます。  

紀州藩士・弓術家 吉見台右衛門、その愛弟子の美しすぎる 若き弓術家 葛西薗右衛門。
尾州竹林の名誉をかけて戦う 星野勘左衛門。
貧困から脱するために、通し矢「大矢数」日本一を目指した 和佐大八郎。
天才達は、あらん限りの力を振り絞り「大矢数」に臨んだのです。
そして、彼等を支え、真摯に生きたヒロイン達の一生。 
熊野、和歌山、京都、江戸、美しい風景と伝統行事、万葉をはじめとする歌や謡曲など、自然と文化が物語の中で溶け合います。そして綾なす織布の如く、男と女の情が深まります。
「炎は熾火となり、それもやがて灰になる──」
「熾火」という言葉が、ヒロイン達の人生に関わって参ります。
どうぞ清々しい涙を流してください。

置き去りにされてしまった美しい日本の叙情と英知、そして行動哲理。
それら多くの大切なものが「夏の熾火(おきび)」の中にあります。
読み終えた後、あなたの思考と意志は、確かに変わっているに違いない……。
命の燦めきと重さを全ての方々に実感して欲しいのです。
明治以来、本格的「弓術」小説の嚆矢「冬の櫻」に続く、「弓術小説」の2作目です。しかしこの「夏の熾火」のテーマは、プロフェッショナルな人間達が、組織の中でどう生きたかという、まさに「人間行動学」が活写されています。