「福島民友新聞社」5月28日朝刊の記事
福島市出身の作家、春吉省吾さん(本名・佐藤祥一)の、長編時代小説としては2作目となる「春のみなも 幕末小藩物語」(上・下巻、ノーク出版)が発刊された。
福島藩を舞台に下級武士の娘として生まれた主人公が、時代に翻弄されながらも力強く生きる姿を描いた大作。
春吉さんが福島民友新聞社を訪れ、作品に託した復興を目指す故郷への思いを語った。
ヒロイン初は、実父や夫の死、貧困など、さまざまな困難を乗り越え、自らの道を切り開いていく。
春吉さんは「物語は、初が絶望のどん底で、人間としてどう行動するのかを描いた。強い意志を持ち、常に前向きの初は、理想の女性像。復興を目指す強い意志を初に託したかった」と話す。
疲弊した藩政を実質的に支える実在の豪商や一揆の指導者ら、個性的な人物も登場し「庶民のしたたかさも表現したかった。私たちの先祖が、自身の手で福島の街を守り再生した歴史を知ってほしい」と言う。
さらに春吉さんは「ヒロインは結局、自分一人の力ではどうにもならず、多く
の人たちの助けが必要なことが分かる。私たちが(震災と原発事故の後の)置かれているれている福島県の現状とどう重なるのか、読み手一人一人が感じ取ってもらえれば」と話した。
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