詩人 春吉省吾 五十年を経て VOL.77

詩集「秘(ひそ)やかな出航」を自費出版して、五十年が経った。
何と五十年だ。
時の経つのが無窮と思えた幼少期。十六、七歳の頃は全てに虚無になり、受験勉強には全く身が入らなかった。大学でも群れることはしなかった。日本語にならない立て看板しか書けない学生運動家達に、何ほどのことが出来るのだと思ったものだ。案の定、手のひらを返したように彼等は皆「立派な社会人」になった。左派の学者や作家の考え方はどう考えても浅く、右派のそれも私の肌に合わなかった。どれもがおかしいと思った。しかし、反駁できない……。
そんな薄っぺらな二十歳の軽薄な男が詩を書いた。
序詩に「生まれてから二十年 何としても性根変わらず。」
とあるが五十年経った今も、まさにその通りだ。人は変わろうとして、自分の軸を同心円に廻るのだが、軸となる「性根」は変わらない。そうだとしたらせめて、その円周は、上昇拡大スパイラルでありたいものだ。ずっとそう念じて生きてきたが、なかなかに難しい。
人は生き物だから、生きていれば生臭い。この七十年、何度か呼吸が止まりそうになったし、大病もした。でも死ぬとは一度も思わなかった。何のために生きてきたのかなどと、哲学者然と考えることはないが、かといって漫然と受け身で生きてはつまらない。
無謀にも未熟な詩をアマゾンKindleに上梓したのは、この五十年の来し方を反芻し、七十になった自分自身を、新たに燃焼させて次の作品を生み出すためである。

詩作は二十歳の詩集「秘やかな出航」三十二篇と、その後十年から十二年後の詩作「福島十二景」の併せて四十四篇を掲載した。詩作はそこで停止し、そののち五十八歳で、長編小説「永別了香港」を書いた。六十歳から長編歴史時代小説や、「心身経営学」の基本となる経営書、哲理的随筆を上梓し始めた。同時に、春吉省吾の著作の発表のために一人出版社を作った。決してマスコミに阿諛せず、既得権の権化のような出版流通のシステムに逆らって活動すると決めた。左翼、右翼の双方から嫌われてもいい、国家権力におもねず、事の本質を貫こうと決心した。だが販促活動や流通が限定され、その存在が認知されないので読者は少ない。
しかしこれまで全ての執筆に命を削った。これからもそうだ。
何れこれら作品が求められる時が必ず来ると信じている。私の既作品群、そしてこれから生み出すはずの「物語」は、次世代を担う若き日本の方々へのエールだ。
私の作品を純粋に楽しみ、それが癒やしとなり、思索の扶けとなり、それぞれの立場で事の本質とは何かを考えるきっかけになって貰えれば本望だ。
七十歳になっても、書きたいことが山ほどある。シリーズものや、中編数作、哲理的随筆も書き進めているが、記憶力、集中力、想像力の衰えは、生き物としての摂理だから抗うことは出来ない。
しかし「天才なおもて苦悩す、いわんや凡夫においておや」の心境である。春吉省吾、「無謀」への挑戦である。

無謀と言えば、当時日本の詩壇を代表する先生方に、その作風もろくに知らない若輩者が、「秘やかな出航」の冊子をお送りした。さぞやご迷惑だったろうと、今思うと赤面の至りだ。
西脇順三郎、村野四郎、北園克衛、北畠八穂、田中冬二、高橋新吉、近藤東、竹中郁、安部宙之助の各先生方から、全て直筆で、お手紙やお葉書で評価を頂いた。特に北畠八穂先生には、和紙の便箋で心温まる四枚にわたる講評を頂いた。
思想や表現方法は違っても、やはり一家を成した先生方は凄いなと思った。何処の誰ともわからない二十歳の若造の創作の芽を摘まず、大切な時間を使った激励のお手紙、お葉書を頂いた。
それが五十年を経た今も、物書きとしての心の支えになっている。先輩詩人諸氏のような気働きの出来る物書きになりたいと思う。
私は誓う。五十年前の詩集「秘やかな出航」を広く上梓することで、創作の新たな起点とし、一作でも多く、楽しんで頂ける物語を紡ぐことを。
最後に、本詩集をお読み頂いた皆様に、こころより感謝申し上げる。
令和二年十一月一日(我が七十歳の誕生日)
春吉省吾
追伸
二十歳の上梓に際して記載した「あとがき」の中で、「金光堂印刷所の社員の方々に……」という記載がある。今は登記だけの会社だが、私の祖父、佐藤金吾が作った印刷会社(創業当時は祖母と二人の印刷工場)である。大正十三年(一九二四年)に創業した。福島市の印刷業の嚆矢である。
現在も登記上存在していて、私が三代目の社長ということになっている。今年で創業から九十六年になる。あと四年経つと創業からちょうど百年になる。その時まで待ち、私の手で登記抹消したいと思っている。それが、我が祖先に対するけじめである。
人生も会社もきっちりと幕引きをして終えたい。
それから、題字は五十年前、私の父が書いてくれた。当時はデザイナーなどという、洒落た言葉のない時代だったが「画工・筆耕」として、ポスターのデザインなども全てこなしていた。その実力はどう逆立ちしてもかなわない。その父も黄泉に旅立ってもう十一年になる。

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「秋の遠音」のイメージ動画をYouTubeにアップ

10月24日に「秋の遠音」上・中・下のイメージ動画をYouTubeにアップしました。動画とイメージ写真を組み合わせて、上中下巻のあらすじを記載しました。未だ「秋の遠音」をお読みになっていない方、既にお読みになった方もこのイメージビデオをご覧になり、より深く作品を味わうよすがとしてください。8分15秒の長編です。BGMも含めてお楽しみください。上・中・下巻の物語の大きな骨子もテロップにしました。壮大な物語の全貌をつかめると思います。
なお、一ヶ月前にアマゾンKindleに全5巻上梓した「永別了香港」のイメージ動画も、時間を見てアップします。(何しろこのところ、全力で執筆作業をしていますので、時間がないのです)
「秋の遠音」のテーマは
●令和の混沌の今、必然から生まれた日本の大河小説「秋の遠音」。読み進むと知らずに心の襞が和らぐ。生と死と、絶望を乗り越えたその先に、真の命の感動がある。
● いつの世も人倫を太く支えるのは、歴史に名をとどめない者たちである。
「秋の遠音」は、家族を愛し、友を信じ悠悠と生きた、彼らの命の物語である。
● 春吉省吾、四季四部作の最後を締めくくる「秋の遠音」。一人の男の、遠く遙かな道程を描く。我欲の世に、清々しく生ききった吉村春明。彼こそが男の中の男であろう。
●「秋の遠音」の主人公吉村春明を通して、幕末・明治初期の、息遣いが活写されている。
春吉省吾のライフワーク、長編時代小説「四季四部作」を締めくくる「秋の遠音」。深く大きな余韻と静寂をもって物語は完結する。

混沌とした今を生きている、一人でも多くの日本人に、お読み頂きたい、長編歴史時代小説です。
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「秋の遠音」と古河市兵衛  VOL.75

令和2年6月に上梓した、四季四部作・長編歴史時代小説「秋の遠音」の中で、主人公の吉村春明とはおよそ好対照な生き方をした古河市兵衛について記載する。
立花種恭、屋山外記、塚本源吾、森泰、半蔵、など個性豊かな人物が登場するが、古河市兵衛も「秋の遠音」の中で強烈な個性を発揮する。明治初期の経営者として、功成り名を遂げた一人である。 古河財閥を作り上げたのは皆様ご存じの通りだ。春明と関わった間のことは殆ど書き尽くしたので、今回は、「秋の遠音」以降の市兵衛について記述する。
生糸・蚕種の一大集積地であった福島城下は、古河市兵衛が井筒屋の番頭として幕末の数年活躍したが、その後の商才の基本を養った場所だ。福島県史や福島市史にはまったく記載されずに、福島の郷土史家達たちが見落としていたのは何とも残念だが、彼の名誉のために福島のためにも「秋の遠音」にしっかり記載した。
この後、市兵衞に薫陶を受けた配下の者や、仲間達が福島と生糸蚕種輸出の窓口の横浜を結んで、日本の製糸業界をリードした。
市兵衞の性格は「秋の遠音」大胆で粘着質で、同様な性格を持つ渋沢栄一とは馬が合ったらしい。
市兵衞と正妻の鶴子との間には、子供が出来ず、渋沢の紹介で、陸奥宗光の二男潤吉を古河家の二代目とした。しかし35歳で早世してしまい、その後、柳橋の芸妓・小清との間に出来た虎之助が古河家の三代目となった。この虎之助が市兵衛の意志を継いで、古河財閥を築き上げた。

「秋の遠音」でも、その雰囲気は伝えたが、古河市兵衛、実は、大変な女好きだ。しかしそれに輪を掛けてタチが悪いのは渋沢栄一だ。かの伊藤博文も明治天皇に女遊びを叱責されても改めなかったという。明治の有名人の中で、この3人はベスト(ワースト)スリーであろう。
しかし栄一に限っては、明治以降の日本資本主義発展の大御所なので、下半身を言いつのるのは御法度とされた。戸籍上12人が正式な子供としてカウントされている彼等が、その醜聞をもみ消した。渋沢は戸籍にも載らない50人とも100人ともいわれる多くの子供がいたとされる。 もみ消すのは大変だったはずだ。次年度のNHKの大河の主人公のようだが、その部分は大幅にカットされるだろう、本当はそこが人間くさくて本当の「物語」になるのだが……。
渋沢のような人物が一万円札になったり、大河小説の主役になるのだから、何でもありなのだ。 私は、一万円札には二・二六事件で銃弾に倒れた、高橋是清こそふさわしいと思う。
栄一は汚職デパートの長州閥の親分である井上馨とも上手に付き合い、江戸七分積金などの裏の経済的取引など「清濁全て呑み込んだ」男だ。資金の源泉がなければ、慈善事業は出来ない。
栄一は68歳で、妾に子供を産ませたが、「いゃあ、若気の至りで」と開き直るのだから半端ではない。
人間に英雄なし、人は裏表を持ち、表が輝かしい人物は必ず、その裏も深い闇を持つ。私はそう思って歴史時代小説を執筆している。その闇を痛快時代小説にしようと、「初音の裏殿」を現在執筆中だ。

さて、市兵衛は小野組倒産を乗り越えて、鉱山業にそのベクトルを移し、一度は枯渇したとみられた足尾銅山の採掘事業に邁進する。
ところで、足尾銅山というと、必ず「足尾鉱毒事件」と田中正造(1841~1913年) が結びつく。
足尾銅山鉱毒問題に取り組み、生涯を鉱毒問題と治水改良運動に関わった人物で、その不屈な意志は私も絶対の尊敬を払う一人だ。そこを誤解しないでほしい。
城山三郎氏の小説に「辛酸」という、足尾銅山の鉱毒事件に対して、田中正造の最後の抵抗運動と谷中村の農民の苦悩を描いた物語がある。また「雄気堂々」という渋沢栄一を主人公にした物語も書いている。栄一は市兵衛の足尾鉱山事業の当初からの協同出資者として参加している。いわば敵と味方の物語を一人の作者が書くのである。(実は、事実をきちっと把握しているとその制作活動はそう難しくはない)
作家は、その対象人物に対して、光を当て、どのようにも物語を作れる。そこには当然作家の意志が反映される。しかし歴史の正確な時系列をきっちりと調べ、併せて当時の社会情勢を具体的に正確に把握していることが大前提となる。

今回、小学国語、中学、高校の日本史の検定教科書を数冊見てみたら、必要以上に市兵衛が貶められている。驚いた。既に、体系的に調べている方がいるので、ご興味があればそちらのサイトをご覧頂きたい。「足尾鉱毒事件自由討論会」というブログである。
検定教科書の内容は少しずつ、事実がねじ曲げられている。実に巧妙なねじ曲げ方をしている。 歴史検定を主管する文部省、教科書検定委員の故意改変と言わざるを得ない。
かく言う私も「秋の遠音」執筆にあたって、市兵衛を詳しく調べ始める20年前までは、古河市兵衛は公害の元凶者だと思っていた。しかし、当時置かれた状況は、日本政府の国策であり、それに対して、市兵衛は最善の対応をしていたことがわかった。当然古河の限界もある。
戦後我々は田中正造はヒーローで、市兵衛は「鉱毒王」で、公害をまき散らした元祖のような教育を受けてきた。勿論古河鉱山の公害の責任は逃れられないが、現在の「公害」基準とは当時の状況とは違うのだ。戦後、東京大学を中心とする社会主義の学者達が、格好の材料として、日本の国語教材や、歴史教科書を「検定」と称して、正確でない記載をしている。
それらの誤謬(故意か調査不足かはわからない)がいつのまにか「事実」になって反証されずに、義務教育の教科書となり、我々の頭に長年刷り込まれ、どこか変だなという事すら想像できず、思考停止になってしまった。
調べていくとわかるが、足尾銅山鉱毒問題については、既に江戸時代の中期から問題になっていて元文5年(1740年)の文献にも
「渡良瀬川にて鮎漁のことつかまつり候えども、足尾銅山でき候後、鮎取り方少々に相成り……」と既に鉱毒がでていたことがわかる。江戸期の足尾銅山の最盛期は1860年代だが、廃坑同然の鉱山に目をつけ、市兵衛が足尾銅山の経営に着手したのは明治10年(1877年)で、数年間は全く成果が出なかった。ようやく明治14年(1881年)に待望の有望鉱脈を発見。その後、探鉱技術の進歩によって次々と有望鉱脈が発見された。しかし、公害に対する認識などない時代で増産を続けた。
明治政府は明治30年(1897年)に公害防止工事を古河に命令し、当時考えられる技術を投入し鉱毒予防工事も、当時の金額で100万円もの巨費を投じて、鉱毒除害工事を実施し、被害民の損害も賠償してきた。
しかし、江戸期から150年も続く鉱毒の堆積は、水害が起これば、忽ち渡良瀬川に流れるという悪循環が繰り返された。
被害者から見れば、それは不満なことにはちがいないのだが、現実の悲惨さ故にいたずらに事実を過大にしてはいけない。正造であってもそうである。
正造は国会への質問書にこう記した。(明治34年3月23日)
「予防命令なるものは一つも事実に行われるものなし。ただ足尾銅山の工事は人目を幻惑し、……人民請願の口術を塞ぎ、加害者の悪事を増大ならしめたるのみ」
これら正造の言葉は、政府と古河に対して正確な言葉ではない。政治家正造の誇張の言葉だ。
戦後、イギリス人のケネス・スプリングという日本文学研究者が、1946年連合軍の一員として来日し、後に田中正造の事を調べ、田中正造の生き方に心酔し「田中正造伝」を書いた。そのケネスであっても、正造の質問文を引用してこう批判した。
「ここの所で、正造が政府と古河に対して公正を欠いているのはほぼ確実である。なるほど工事5年間、改善されたきざしがほとんど、というかまったく見られなかったことは事実だ。しかし明治35年(1902年)には鉱毒は急速に減少し始めたのであり、その原因の少なくとも一端は、明治30年(1897年)の政府の予防命令によるものであった事は間違いない」
ストロングによれば、明治35年の大洪水の後、新しい肥沃な土壌が、それまでの鉱毒被害地の一面を薄く覆っていたと記載している。イギリス人の覚めた見方こそ、正しい歴史の認識だ。
市兵衛は、明治36年( 1903年 ) 4月5日にその波乱の一生を終えたが、無念の思いもあったろう。

明治28年に博文館という出版会社が、総合雑誌「太陽」を創刊した。日本で最初の、評論を含む総合雑誌で、大正前期まで「雑誌の王様」と言われた。その「太陽」で、創立12年記念として明治32年に「明治12傑」という特集を行い、全国の10万人の読者に呼びかけ、大冊に纏めた。政治家・文学家・科学家・軍人・教育家・法律科・医家・美術科・商業家・工業家・農業家という分野で、それぞれに順位をつけたが、全ての分野での得票順位は、
①古河市兵衛 23,782票 ②伊藤博文 20,394票 ③ 大隈重信 19,291票 ④福沢諭吉 18,422票 ⑤ 鳩山和夫 18,006票 ⑥加藤弘之 17,141票で、渋沢は15,485票であった。
今は有名になった田中正造は鉱毒事件で時の人であったが、当時の国民には人気がなかった。
国民は馬鹿ではない。堅忍不抜の資質を高く評価した当時最大部数の経済雑誌「実業之日本」は、
「古河市兵衛氏も(足尾の鉱毒)決して放任する精神はない由で、いよいよ実行できる範囲内で救済策を講じることにしたようである」と記述している。(明治34年12月1日)
これは、先のストロングの伝記記述と一致する。
また、市兵衞は前述した様に、陸奥宗光、渋沢栄一とは親しくしたが、それ以外の明治の政財界の人物とは殆ど付き合いもなかった。市兵衛の死後、息子の虎之助は、当時内務大臣だった原敬に懇請されて、五年間で105万円を3つの大学設立の為に寄付した。1つは、札幌農学校から東北帝国大学農家大学、後の「北海道大学」の設立資金を拠出し、また現在の「東北帝国大学」も古河が26万円を寄付し、宮城県の15万円の、計41万円で設立され。結果的に国費なしで創設された。また「九州帝国大学」も古河家の寄付によっている。古河家の寄付がなかったら三大学の設立は、大幅にずれ込んだか、設立不可になっていた。
市兵衛の人格は、虎之助を通じて、きちっと伝わったのである。
「秋の遠音」を通して、私は市兵衛の為人をしっかりと書いたつもりだ。
私は市兵衛を等身大の男として書くことを主眼とした。彼を書いていると、やることをやってもなお「鉱毒王」という看板を背負わされ、じっと耐えた市兵衛の心情を思う。そしていい加減に批判する者達に、私は腹立たしさを覚えたものだ。
私は、作家として古河市兵衛という男を「秋の遠音」の中で、活躍させることが出来て誇らしく思う。「運鈍根」(成功するには、幸運と根気と、鈍いくらいの粘り強さの三つが必要である)という信念を貫いた、若き古河市兵衛を描いたのは、春吉省吾だと胸を張りたい。

特記すべき事は、当時の日本国民は市兵衛のことを正しく評価していたことだ。人間は常に刷り込みを受けると、物事を正確に把握することが出来なくなる。例えば新型コロナの情報など、新聞や地上波テレビの情報を見た限りでは、その不整合に頭をかしげる。中途半端な知識を振りかざして情報発信する側は、その責任の重さなど一切お構いなしの「マッチポンプ」の面々だ。我々はそれに対して、しっかりと正確に事の本質を掴む勉強をしなければならないのだが、そういう勉強する「場」がないのもまた痛恨事だ。
2020年10月20日  春吉省吾ⓒ

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「永別了香港」秘話と今そこにある危機 VOL.74

「永別了香港」全五巻が、9月15日にアマゾンKindleから出版する事になりました。私の長年の意志と意地が実りました。
アマゾンKindle版として「冬の櫻」改訂新版全四巻も既に発売中ですが、多くの人に読んで頂くためにAmazonアンリミテッド会員には、「永別了香港」も「冬の櫻」も無料で購読できるようにしました。日本語が理解できる世界中の人達に、そして、日夜第一線で厳しい環境のもと、働いている日本の若い方々にぜひ読んでほしい物語です。
私は「永別了香港」を、Nonstop Entertainment Novel 「絶対小説」と定義しました。どこを読んでも満足できる小説、それが「絶対小説」で、所謂「全部入れ」です。全体が原稿用紙で3600枚を超しますが、そのボリュームにかかわらず、一気に読んでしまうでしょう。
従来の「小説」の概念を破り、純文学的筆致で、異端の「ラブストーリー」、経済小説、推理小説、紀行小説、さらには哲学的な要素を持たせ、日本の特殊業界の裏側を抉ったノンフィクション、日本で報道されていない天安門事件の側面も記述しています。その間の三年四ヶ月にわたる、主人公の人間的成長が物語の柱です。
従って全体の構成は、謎解きも含めて、一度読み始めたら止まらなくなるような、多面的な工夫をしています。これは実際、作家の力量が問われますが、「とにかく面白い」と言わせる自信があります。

「『永別了香港』本文中の登場人物は全て架空の人物です。また組織名、企業名なども全て架空のものです」と断っていますが、万一、会社名などが実在すると面倒なので、敢えて架空の物語の中に、主人公の名前と会社名は実在する名前をつけました。作者の覚悟です。
また「永別了香港」では「性」の描写は不可避でした。勿論、興味本位で追いかけるのも大歓迎です。それらの描写は、上海生まれの女性、アニーという苛烈で激烈な半生を生き抜いてきた心の移ろいと、その深淵にある呪縛が次第に解放されていく過程を描いています。結構深い。
香港の街は全て当時の所在の通りに記述しています。一度でも香港を訪れた方は30年前の香港が、文字から浮かび上がってくるはずです。香港啓徳空港や、旧中国銀行の建物など、今は存在しませんが、当時を思い起こして自由都市香港を懐かしんでください。
また、香港ならではの様々の「食」を描いています。香港人の食に対するエネルギーは、度胆を抜かれます。普通の観光ではおよそ体験できない様々なお店やマーケットの賑わいなどを、この小説からも感じていただけます。
しかしその香港のエネルギーは、今や中国共産党に蹂躙され「自由都市香港」の未来は厳しいものがあります。今日の香港は明日の台湾、そしてこのままだと、日本も危ないのです。ノー天気で、自分の頭で考えないと、中国共産党の策略に足下をすくわれてしまいますよ!!
親中派の自民党議員や、中国市場に秋波を送る経済団体や大企業。批判も出来ない野党、中共のプロパガンダかと思われるような新聞・マスメディアの方々へ、謹んで申し上げる。
「拙著をお読み頂き、併せて『韓非子』や『孫子』などを熟読されたい」。
中国共産党の抗日幹部として活躍していたアニーの父のこと、香港の裏社会と中国本土との様々なネットワーク、天安門事件に対しても、香港人達が先頭に立ち「平和運動」をするその行動は丹念に描いてあります。天安門事件に対する香港人の行動は、単に人権問題だけでなくもっと複雑です。中国共産党の描く政治的な「中華思想」と、中国本土と香港人が描く「中華思想」、さらには、日本人との思考回路の相違も、この「永別了香港」を手がかりとして、歴史と地勢を組み合わせて考えるきっかけにして頂ければ良いですね。日本が香港を占領していた時代のことは、この小説で、主人公が「香港ジョッキークラブ」を訪ねた時のやりとりに集約されています。

「永別了香港」は、独りの男が3年4ヶ月にわたって、体験したその成功と挫折から、「何か」を掴み取り再び這い上がろうとしているところで物語は終了します。終わりからの始まりです。
人間とは何だろう、生きるとは……、男と女、親と子、家族とは、組織と個、民族と国家など様々なテーマを楽しみながら考え、最後の一語まで夢中になってお読み頂けるはずです。
時代小説も、哲理的随筆も、「密やかな出航」のような詩も「永別了香港」のNonstop Entertainment Novel 「絶対小説」も、全て春吉省吾の人格の一部です。はっきり言わせて頂くと日本の作家然、学者然とした方々とは違い、いろんな「筆」を使い分け、使いこなし、自己の哲学をわかりやすく様々に表現できる者を本当の「物書き」だと申し上げたい。「物書き春吉」とはそういう意味で使っています。
2020年 9月20日  春吉省吾ⓒ
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「永別了香港」アマゾンKindle版で全五巻上梓・物語は世界へ

9月15日に「永別了香港」全五巻「アマゾンKindle版」としてアップした。私の作品を世界中の読者に、Kindle端末、タブレットで直接、配信できるのは嬉しい限りだ。
「規格外・想定外」の作品を発表する私にとって、市場が一気に「世界」に広がる。特に「永別了香港」は世界中の読者に読んでほしい小説だ。

次の日本を担う若者よ、主人公の様に、ボロボロになりながら行動せよ。そうでなければ、この日本は明日の香港になってしまう。正解などないが、自らが果敢に行動し、現実に向き合わなければ、生きている意味がない。
そして香港人達へ、自由な香港再興を決してあきらめるな。現在の「香港終焉」は、終わりからの始まりなのだ。
群れるな!! 野生の刃(やいば)を知性で包み、優しく生きよ!!
春吉省吾著「永別了香港」Nonstop Entertainment Novel 「絶対小説」を世界中の若者に読んでほしい。
春吉省吾

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近況報告と、虚実を見分ける眼力を!というお話。

読者各位へ
先週の天気予報では、今週から暑さは一段落と言っていたが、とんでもない 。最新の気象観測システムを使っても予測困難と言うことだ。米国カリフォルニア州デスバレーで54.4℃を記録。世界の観測史上、3番目に高い気温という。この先、どこまで暑くなるのか。というと、直ぐに地球温暖化の話を持ち出し、云々と言い出す。それは事の本質を判らない方の言だ。

新型コロナについても、4月15日、人と人との接触を減らすなどの対策を全く採らない場合、国内で約85万人が重篤になるとの試算を公表し、うち約42万人が死亡する恐れがあると言った教授もいた。その一ヶ月半前、新型コロナウイルスで日本人は最悪57万人が死亡するという、アメリカのシンクタンク「ブルッキングス研究所」が発表している。酷似している。統計学は、基礎とするデータを慎重に吟味しないととんでもないことになる。

本当の科学者は、勝手に断定してはいけない。一方、不確実なファクトから解を見つけて、具体的に実行するのが政治だ。政治家はその責任を取る。失敗すれば身を引く(世界の指導者の殆どはそうではないが……)。官僚は決して失敗を認めない。我々はそれら人物像をきっちりと見分けなければならないが、いい加減な情報に流されて、ごまかされてきた戦後75年。
ここ1年、哲理的随筆集の三作目として「ダブルスタンダード・DOUBLE STANDARD」を書くために、最新の経済学、哲学、科学書を読みあさって、頭の中を全てシャッフルした。私の基礎哲理はブレないが、頭をクリアにしないと新しいことが入ってこない。その殆どは「くそ理論」だが中には凄いものもある。わからない所はなんども読む。ごまかしの部分が見えてくる。
というわけで、昨日から「ダブルスタンダード」を書き始めたのだが、英語版のアマゾン本「DOUBLE STANDARD」というタイトルを検索していたら、ずらずらと出てくる。名前を変えようと考えている。欧米人のDOUBLE STANDARDという発想は、長い歴史の中で彼等が、彼等のために積み上げてきたものだ。それに打ち勝つ日本人のための哲理書を書き上げたい。

少し前に、YouTube「春吉省吾チャンネル」に「冬の櫻」改訂新版の第二巻のあらすじを、映像とBGMを加工してアップしました。ご覧ください。創作、著作は楽しんでやる、それがこの年になって判ってきた。読者各位にはお元気で、お過ごしください。

2020/08/26

「永別了香港」33年の沈黙を破って上梓 VOL.71

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

●今はない「啓徳空港」から離発着するジェット機。香港のビル街をすれすれに飛ぶ。
●香港ジョッキー倶楽部、「永別了香港」の主要ファクターとして登場する。
●香港の買い物市場はいつもお祭りだった。
●香港島と九龍を結ぶフェリー。
●天安門事件追悼キャンドル集会、2018ビクトリア公園。

本文

「永別了」(ウインビットユウ)とは、「再会」(広東語でゾイキン、北京語でサイチェン)という、「また会いましょう、さようなら」という日常的な別れの言葉でなく、暇乞いという、かなり強い別れを意味する言葉で、ヘミングウェイの「武器よさらば」の原題、“A Farewell to Arms”の“Farewell”と同じである。
この作品「永別了香港」は、私の作家としての処女作だったが、暫く「封印」してきた。その理由は何れ明かすとして、単純ではない。10年前に電子書籍のある販売ブログにアップしようとして直ぐに思い止まり、完成形の作品は誰の目にも触れていない。一部修正して上梓出来る目処がついたのは、アマゾンKindleのソフトを作家の私自身が自由に編集できるようになったからだ。
私はその、Kindle版の「永別了香港」の扉コピーにはこう記載した。

香港返還(1997.7.1)の10年前、1987年(昭和62年)独りの日本人が偶然にも「香港」と関わり、持てる力の全てを尽くし、ビッグイベントに立ち向かった数奇な物語。
果たして、純文学か、禁断・背徳の小説か、異端のラブストーリーか、破天荒な経済小説か、推理小説か、日本の裏側を抉った暴露小説か……。人間の哀しさと愛おしさを一人の人間の成長を通して多面的に描き上げた「永別了香港」。日本人が、これまで書けなかった、リアルな日本・香港・中国がこの物語の中にある!!超長編でありながら、読者は吸い込まれるように先を読んでしまうはずだ。
上梓直前で思い止まり、長く封印していた、春吉省吾の処女作品「永別了香港」全5巻。スリルと猥雑、欲望に満ちた香港・中国、日本の闇が描かれている。
2020.6.30「香港国家安全維持法」が施行された。不幸なことだが「香港終焉」の端緒は、この超長編、ノンストップ・エンターテインメント・ノベルに全てが活写されている。

悲しいことに、猥雑でエネルギッシュな自由都市香港はもはや風前の灯火となった。当時のことを香港で語ることも出来なくなった。中国共産党の愚策・弾圧によって全てが閉ざされたからだ。
この小説「永別了香港」を上梓する意志が私の中で、俄に高まったのはそういう理由からだ。
今から30年前の1989年6月4日、北京の天安門広場で、民主化を求める学生や市民が、中国共産党の手で虐殺された「天安門事件」。中国共産党がもっとも隠蔽したい事件だ。当時の最高実力者鄧小平一派が犯した中国共産党最大の汚点である。以来、中国本土では徹底してこの事件を抹殺し、日本の政府・与野党・財界・あらゆるメディアも中国共産党に媚び、忖度した。
しかし一国二制度のもと香港市民は弾圧に耐え、これまで、ビクトリア公園に集まって、抗議の意志を伝え続けてきた。
2020年6月30日、中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会は「香港国家安全維持法案」を全会一致で可決した。
この国家安全維持法は、「国家分裂、政権転覆、テロ活動、外国勢力と結託して国家に危害を加える行為という四つの活動を犯罪行為と定めているとんでもない悪法だ。
7月14日の「ニューズウイーク日本版」で、記者デービット・ブレナンは「香港の挽歌」と題して、「自由都市・香港が香港でなくなる日」“NOBODY CAN SAY NO TO BEIJING”の著名記事にはこうある。
「30年という歳月のせいではない。1989年のこの日に北京の天安門広場で民主化を求める無数の人々が中国共産党の手で虐殺されて以来、香港市民は毎年、この公園に集まって抗議の意思を表してきた。中国側は、天安門事件を何としても歴史から抹殺したい。それでも従来は、特別行政区である香港とマカオでの追悼式典は黙認してきた。しかし今年は違った。新型コロナウイルウス感染防止を口実に、当局はビクトリア公園での集会を禁じた」
国家安全法の適用が決まった翌日、香港トップの林鄭月娥(キャリーヤム)行政長官は、香港市民宛の書翰を発表し、今の香港は「国家安全保障上の大きな穴」であり、その「繁栄と安定が危険にさらされている」と主張した。(中国政府の立場から見るとそういうことになる)
国家安全法の適用によって、香港でのデモや集会は勿論のこと、反体制的なメディアへの圧力、過去に遡って批判的な投稿した者達も逮捕される。インターネットの規制も、芸術学問的表現の自由も規制される。宗教団体の圧力の対象も取締の対象になる。ジャーナリストも批判記事を書けば逮捕される。
事実、この8月10日、香港のメディア王で民主活動家の黎智英(ジミー・ライ)氏が逮捕、「学民の女神」と呼ばれた元政治運動家、周庭(アグネス・チョウ)さんも逮捕された。容赦ない後ろ手錠で、周庭さんが連行されていくニュースは衝撃的だった。彼女は勿論、天安門事件前までの自由闊達な、私の描く「永別了香港」に描かれた「香港」を知らない世代だ。
一時期、封印したこの「永別了香港」は、習近平政権下で、自由を剥奪されてしまった香港の人々に読んでほしいという思いもある。(正しく翻訳されての話だが)
33年前のおよそ3年間、私が直接間接に関わった「自由香港」は抹殺された。書き始めた当時、二度と香港には関わらないと自戒を込めてつけた小説のタイトルだったが、「永別了香港」というこのタイトルは、歴史的重みを持ったタイトルとして大きく変容した。
この小説上梓によって中国政府がそう判断すれば、この先私が香港や中国に行けば、この悪法によって逮捕されることもある。また、中国と「犯罪人引渡し条約」を締結している国に行けば、拘束されることもある。国家安全法とはそういう、とんでもない法律である。

nonstop entertainment novels 「永別了香港」は、今から33年前の3年間、東京・渋谷、香港、シンガポール、台湾、珠海、マカオが舞台になっている。
日本はまさにバブル絶頂期、その流れに取り残された30半ばの零細企業イベント・広告会社の経営者が、ひょんな事から、香港に関わることになった。全てが偶然か、必然か……。
物語は1986年(昭和61年)12月、クリスマスイブ、東京・渋谷、音楽業界のたまり場となっていた渋谷公園通りのスナック「道」に、ある男が閉店前、ひょっこりと現れた事から、物語がはじまる。
「永別了香港」は、現在世界を相手に第一線で活躍している日本人は勿論、世界中に散ってしまった、華僑、香港人にもぜひ読んで欲しい作品である。同時に、日本の特殊な業界や政界の裏の動きも書き込んである。30年前の澱が更に異臭を放ち、のっぴきならなくなった「今」の日本。
新型コロナによって、戦後75年の隠蔽されてきた既得権益がすべて暴かれた。これを抛っておけば、日本の未来は暗い。その未来をなんとか打破しようと行動するとき、「永別了香港」は、精神的起爆剤になるような物語だ。
「永別了香港」Kindle版・全5巻「nonstop entertainment novels 」は、司馬遼太郎氏の「竜馬がゆく」文庫本全8巻とほぼ同じ文字数だが、貴方は、面白くて、あっという間に読み切るだろう。見えない未来に、本気で立ち向かおうとしている日本人、香港人、真の人権を守る中国人に贈る。9月上旬に上梓します。
2020年8月20日   春吉省吾 ⓒ

 

「冬の櫻」改訂新版全四巻Kindle版上梓 VOL.70

 

 

四季四部作・長編歴史時代小説の最初の作品「冬の櫻」を書籍化してから、10年近く経ちました。
今でも、弊社のネットショップや、委託していた弓具店さん経由で注文が入りますが、在庫も殆ど無くなりました。本文組み付けの文字や行間が狭く、読みにくく、誤字もあり、作者としては忸怩たるものがありました。
「冬の櫻」は江戸中期を舞台にした「本格弓道小説」ですが、当時私が、弓道稽古を始めて10年ほど経った、今から20年前に「弓道時代小説を書く」と宣言したら、私をよく知らない周囲の口さがない弓仲間に嗤われました。
「吉川英治先生にも書けなかったものが、お前に書けるはずがないだろう」というわけです。
当時、話をお聞き頂いたのは、当時全日本弓道連盟会長の鴨川信之先生と、同副会長志々目義宏先生でした、お二人とも範士十段の最高峰の弓術家です。残念ながら、お二人とも鬼籍に入られてしまいました。
弓道(弓術)に関する確たる資料は細切れで少なく、時間をかけて資料を収集して物語を組み上げましたが、発刊後、弓術所作について時代的修正事項が何カ所かありました。今回内容を見直し、改訂しアマゾンKindleから、全四巻の電子書籍に纏めてアップしたというわけです。
拙著四季四部作のもう一作に、紀州藩の権力闘争を背景にした、三人の弓術家を主人公とした「夏の熾火」という小説がありますが、これら二作は、明治以降の弓道(弓術)小説として嚆矢であり、今後も「弓道小説」として読み続けられる作品と自負しています。

「秋の遠音」を6月に上梓するため、今年当初から休みなしで「作業」を続けてきました。落ち着いたら取材旅行をしたいと思っていましたが、コロナ禍で、気楽に出かけられなくなりました。
それでも旧盆には、故郷の墓参りと、母の顔を見に行こうと計画していましたが、現在、親族でも都民だと高齢者用マンションの入室面会が出来ませんといわれて中止しました。ならば「充電期間は一切なし」と、開き直って机に向かっています。いろいろやっています。

原稿収集からプロットを組み立てて作品を創作する「頭」と、それを元に出版(それは印刷物でも電子出版でもどちらもあり)処理する「頭」と、さらにはそれらを様々な媒体を使って「販促」する「頭」、それら3つの「頭」をそれぞれに使い分け、使いこなしをすれば、「コロナ禍」の最大の気分転換、対処法になるだろうと、自分を鼓舞して、プラス思考で実践しています。
色々やることが、頭の切り替え「充電」だと意識を変えました。
「コロナ禍」の時代、個々人にとって、あるいは企業にとって、今何が出来るのか。それは当座しのぎの便法か、そうだとしていつまで続けるのか、その間の資金調達は可能なのか。将来的にその努力は貴方にとってやるべきことか、後退・縮小、転業・廃業等々、この時期じっくり考えるべきでしょう。残念ながら、行政を頼っても、生きる為のグランドデザインは、教えてくれることはありません。必死になって自分の「頭」で考えるしかないのです。

さて、私の実践した一つは、アマゾンKindleの為のデータ変換技術をマスターし、販売することでした。紙の書籍を作る方法と勝手が違って、多くの時間を割いて試行錯誤をしました。相手はプログラムなので、年寄りには大変でしたが、これが気分転換、頭の体操になると割り切って作業しました。
そこそこ苦労したお陰で、全体を把握することが出来、「永別了香港」の全五巻もアマゾンKindleで9月の上旬に上梓することが出来ます。以降「密やかな出航」を9月末に上梓し、この先、既刊の作品は、速やかに電子書籍化して読者のご要望にお応えしたいと思っています。
実践の二つ目は、この夏場、セキュリティ充実のためホームページを刷新し、動画も取り入れる作業です。無料のソフトを変更して作っていきます。その計画の課程で、新しい発想も生まれました。未発表の「心身経営学講座のデータ」を手直しし、画像と併せればYouTubeにアップして、実践哲理として利用して貰えると思っています。
幸い10年前までイベントで培った、映像処理技術もあります(錆びましたが)ので、全て自力で出来ます。それに映像処理のソフトは当時とは格段の進歩を遂げ、易しくなっています。封印した技術を再利用し、今年来年と、様々な媒体を利用し、「言挙げ」の場を多く持ちたいと思っています。伝えたいことは山ほどあります。甘えてはいられません。他力本願では物事は進みません。そういうわけで、惚けて創作・作業ができなくなるその日まで、頑張ろうと肚を括りました。あとは、健康管理をして、躊躇せずに実行あるのみです。

今年、上半期の国内の出版物の売り上げは、「コロナ禍」の影響もあり、電子出版が前の年の同じ時期と比べて30%近く増加したといいます。アマゾンのKindle登録で思ったことですが、一度登録すれば、手数料は取られますが入金はきちっと確保されますし、世界中の読者が拙著を読んでくれるのです。これは、凄いことです。地球の果てにいても、日本語が読めれば、私の本が読めるのです。従来の紙媒体の書籍も勿論大切ですが、現在の澱んだ出版流通を変革をしない限り、読書人口は決して増えません。大手出版社と大手流通、返本自由という現在の書店形式では、未来はないし、紙媒体の書籍もアマゾンに浸食されている現状はその途中経過です。
9月にKindleから上梓予定の「永別了香港」の読者対象は、世界を相手に海外の第一線で活動している若き日本人や、30年前の香港や渋谷の活気ある熱気を知っている壮年日本人ですが、それ以外に、香港、台湾をはじめ、世界中に広がる、華僑の人々に読んでほしい小説なのです。
アマゾンKindleのシステムが、ぴったりな小説なのです。
また、Googleに買収されたYouTubeを通した情報発信は、地上波やBSなどよりも、遙かに広範囲な情報を我々にもたらします。日本はもとより、世界中の動画ニュースを視聴できます。世界は大きく変わっています。「新型コロナ」に関する、日本のニュース情報は、随分と偏向しているなと、比較して初めて判ります。
今まで、封印していた映像処理にも手を出すことになるので、今後は当然YouTubeにも参加することになります。
「コロナ禍」によって、自分の言葉やイメージが、従来の「流通」の枠を一足飛びに追い越していきます。音楽配信、書籍配信、映像配信の分野でも、一気にフィールドが、広がらざるを得なくなります。単に受動的にそれを利用するのでなく、積極的にそれを使って配信することも必要だと痛感しています。
私の目指している方向は、「テレワーク」や「リモート会議」などのシステムをそのまま利用というものでなく、その考え方のベースになる「思考ソフトの配信」そのものになる事です。
ちなみにGAFAという言葉は、広告や検索(Google)、スマートフォンとそのアプリ(Apple)、SNS(Facebook)、ショッピング(Amazon)というネットの「プラットフォーム」で大きなシェアを持つ「プラットフォーマー4傑」という意味で使われていますが、このプラットフォームに対抗できるシステムは、この先日本で創成される可能性は慙連ながら薄いようです。ならば、それらの機能を利用するしかありません。4傑といわれているその中でもアマゾン(Kindle)、グーグル(YouTube)は、この先もっと大化けします。とてつもなく恐るべしです。
2020年 8月9日  春吉省吾ⓒ

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「秋の遠音」余話 作家・春吉省吾の矜持  VOL.69

●7月14日、午後3時の新宿南口。こんなに人通りの少ない風景は初めて見た。東京都も政府も感染拡大を抑えるためにもっと危機意識を持ってと言うが、危機意識を持たなければならないのは果たして、国民・都民なのだろうか?責任の倒置が起こってはいないか。

●7月20日午前中、ウォーキング・ジョギングに立ち寄るいつもの公園。人がいない。「コロナ禍」がここまで刷り込まれると、考えることを止めてしまう。今のところ国際医療福祉大学の高橋泰教授の新型コロナの臨床に関わる論文が一番説得力がある。それでも、欧米と日本の重症者・死者数の乖離は説明できない。他は推して知るべし。ともあれ無責任なあおり報道は止めてほしい。

●夾竹桃・経口毒性が強い。公園の遊具を必死になって除菌するならば、こちらを別な無毒の植物に植え替えるのが先のような気がする。子供が触って口にすれば危ない。

6月に上梓した、四季四部作・長編歴史時代小説「秋の遠音」について、その裏話を何回かに分けてお話しします。
先ず、「ノーク出版」のコンセプトを明確にしておきます。このブログを借りて何度もお話ししていますが、「ノーク出版」は、一人の補助者もなく運営している出版社で、おそらく世界でたったひとつの出版社です。どんな零細企業でも、パート社員や外注業者はおりますが、ノーク出版は一切なし。一人で数十人分をこなしています。同時に、作家「春吉省吾」独りの出版社です。勿論、「出版社」と「作家」と双方の機能は当然違います。そこが悩ましいところです。
頼みは、友人のアドバイスと、熱烈な「春吉ファン」のみです。

今回、「秋の遠音」の販売にあたり「ノーク出版」は、日販・東販の下請流通会社を通して販売することを止めました。弊社のネットショップ(カード決裁用と後日決済の2種)とアマゾンの販売だけにしました。これまで、数年経ってから書店経由で配本が戻って来るようなことが多々ありました。配本も、入金もいい加減で、商売になりません。「出版社」と「作家」の全てを一人でやっている私にとって、心血を注いだ私の本が数年棚晒しにされ、管理もせずにゴミとして突き返される、その悔しさを身に染みて知っている唯一の作家だと思っています。

汚れて返品されてきた書籍をバラして廃棄する作業をしていると、魂が冒涜されたような気持ちになって、涙が出てきます。一般の作家は、こんな現実には決して立ち会うことは無いので、この気持ちは全く分からないでしょう。
時流に乗って、売れている作家の方々は、このような出版・流通業界のいい加減な部分は、知っているのだろうか。知っていて声に出して批判しない先生方も多いでしょうね、きっと。
言論の自由を主張し、著作権云々を主張する作家達は、自作品が流通している「土台」が時代に合わず、腐っていることを埒外に置いてはいけません。プロの作家として、自分の作品本が、出版流通で、どのようにいい加減に扱われているか、そこから目を離さず、そのシステム改善にまで言及しない限り、プロとは言えません。様々なプロ作家の団体は、これら根本矛盾を率先して是正すべきなのですが、その能力は無いでょう。プロ作家団体の甘さです。マスコミに作られた、あるいは、大手出版社の販促活動で作られた虚像のプロの作家の中身のなんと空虚なことよ。

私も、前職で、いろいろな業態のコンサルタントを経験しましたが、このような旧態依然とした流通形態は書籍流通が最たるものです。大手出版社と大手流通業者のなれ合いは、日本の読者の為に百害あって一利なしのシステムとなっています。
地方の書店経営が成り立たなくなる根本原因がここにあります。良い本を紹介し、販売しようとする書店主も現在のシステムではそれも出来ません。「本屋大賞」など、読者・顧客のニーズを掘り起こそうとしても、実際の販売・配本する円滑なパイプが閉ざされては、抜本的な顧客掘りおこしは望めません。これを称して一般常識では「本末転倒」というのです。
発刊以来、数店の書店から「秋の遠音」の問い合わせがありました。
「流通のシステムは我が社も存じていますので、同条件で、直送しますよ」というと黙り込んで、
「流通を通さないと後々面倒だし……」と口ごもり、後日連絡します、で終わる。
私はその書店の店主にはっきり言う、「今の流通システムでは、貴店から下請けの流通へ問い合わせがあって、そこから弊社に連絡があり、その逆のルートで、お客様の手元に届く事になります、一週間以上かかってしまいます。貴方がもし、お客なら、購読意欲がそがれてしまうでしょう」
今回、複数の図書館からも問い合わせがあり、問い合わせだけで終わった図書館も多い。 
流通業者を通さないと、購入できない組織になっている行政の図書館がほとんどのようです。
今回、購入して頂いた図書館は、「伊達市立図書館」であった。英断に感謝いたします。
かつて経営コンサルタントの実務・黒子の立場にいた私としては、このような閉鎖的な出版業界の抜本的改革の妙案は持っていますが、これに関わると、春吉省吾としての作家活動が出来なくなってしまうので、今のところ封印しています。ご希望があれば何れ戦略・戦術を……。出版界の流通革命を起こすことが出来るかも知れません。

一方、「ノーク出版」から春吉省吾作品をより多くの方々に読んで頂くためには、新聞などの広告告知もしなければなりませんし、全国配本するにはそれに見合った冊子費用がかかります。とても捻出できません。現状の販売方法では、口コミで広がってもせいぜい読者は、数千人に留まります。一桁上の、数万人以上に読んで頂くためには、文庫本が良いのですが、それこそ、印刷資金が捻出できません。今のところ、多くの人にタイムリーに読んで貰うには、「電子書籍」をアップするか、あるいは春吉省吾の作品を良しとする中堅出版社に出版権を預け、春吉省吾の販売を全て肩代わりして頂くしかありません。
出版経営と、作家活動の両立は中々悩ましい問題です。

この度「冬の櫻」を全面改訂・修正し、4巻に分けて、アマゾンKindleに電子書籍として出品することにしました。誤字脱字を正し、言い回し、時代背景などを補正・修正しています。校正しながら不覚にも何度も涙を流しました。まあ、これでは校正になりませんが……。
他人の小説を読んでも、「資料」として読んでしまうせいか、感動はありません。というわけで、何回読んでも感動できる小説を書き続けることが、作家春吉としての役割だと思っています。
一人作業のため、誤字や用語の誤りがあり、読者の方々にはご迷惑をおかけしていますが、改訂新版では、全て訂正して上梓します。これから上梓する「電子書籍・Kindle版」が、現在のところもっとも「完全版」に近いものになります。
「ノーク出版」の経営者と、作家「春吉省吾」の、ジレンマは中々難しい問題ですが、とにかく、「小説作品」を完全にすること、新しい作品をどんどん創作すること、両方を同時に進行させることが、私の使命と心得て、楽しく作業をしています。数世代にわたって、何十万、いや何百万の方に拙著を楽しんで貰えることを固く信じて、コロナ禍の後、虚になりがちな日本人の心の癒しに少しでも関わることが出来れば本望です。
       2020年 7月20日  春吉省吾ⓒ

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「秋の遠音」購読御礼と、その先 VOL.68

◆夏越しの大祓「代々木八幡神社」2020.6.29

◆渦あじさい・散歩の途中でふと目を留めた。江戸時代、病気にかかったあじさいを改良した変異品種という2020.6.29

◆定期検診で半年ぶりに新宿へ。12時半というのに、人出は少ない。半年前と比べると3割ほど。自主規制は行きわたっている。東京の感染は、3桁が続いているが、それは都民の気持ちが緩んでいるのでは決して無い。無策の結果だ。こうなっては、このまま推移していくしかない。あとは、一人ひとりが、罹患しないように気をつけることしかない。
2020.7.7

九州一帯に甚大な被害をもたらした大豪雨前日の7月3日の金曜日、福岡県大牟田市の市立図書館の担当者から、拙著「秋の遠音」の購入について問い合わせがあった。大牟田市は、幕末、下手渡藩分領地、(維新直後に)三池藩で、「秋の遠音」の主要な舞台の一つである。主人公の吉村春明や塚本源吾、森泰などが活躍した地である。
電話があった4日後の7日火曜日の朝、テレビのニュースをつけたら、大牟田市街が、諏訪川・堂面川の下流が氾濫し、水浸しになっているではないか。
大牟田地区のその朝6時40分迄の24時間降雨量は446.5mmと、観測史上最大の降雨量となった。豪雨が、九州南部の鹿児島、熊本から、北部の大分、福岡、佐賀、長崎に移って、いまもって大雨の危険は続いていてる。
不幸にも犠牲になられた方々のご冥福と、被害に遭われた方々の一日も早い、復興をお祈り申し上げます。「コロナ禍」と重なって、安心・安全を奪われてしまった方々の、不安と悲しみ、その精神状態はいかばかりかと、案じられる。

その新型コロナウイルス、なかなか「正体」を見せない。
このウイルスに、世界中が翻弄されている。2020年7月10日、全世界の感染者数は、1千2百万人を越え、死者数も55万人を上回った。アメリカでは、7月9日、 感染者数が300万人を超えた。
日本に限って言えば、政府・東京都などの行政の対応は、軸が定まらずお粗末な対応だ。いくら日本人が勤勉な民族で文化慣習の違いがあったとしても、この程度で収まっているのは奇跡に近い。この新型コロナに対して何らかの免疫があるのか、それともウイルスの種が欧米や中南米と違っているのか、諸説あって未だに特定できない。だから、ワクチン開発が今世界中の喫緊の課題だが、よしんば開発されたとして、それが日本人に適合するかどうかは判らないし、莫大な研究開発費が何十倍に付加され、国家戦略として利用される。過大な期待はしないのが賢明だ。
現在辛うじて、感染増加に抗して、歯を食いしばって頑張っているのは、偏に、医療現場で働いている方々のお陰だ。しかし、新型コロナ患者を受け入れた医療施設をはじめとして、一番貢献している彼等の賞与が大幅に減らされたり、積極的に新型コロナ患者を受け入れた医療法人が倒産の危機にあるという。何とも、理不尽なことが起こっている。せめて真っ先に、金銭的な援助をすべきなのだが、とにかく対応が遅い……。

戦後75年を迎え、拙著「言挙げぞする」にも「29円モヤシ」にも日本の問題点を指摘したが、コロナ禍によって、あらゆる事が鮮明になり、そこで指摘した様々な問題は、加速度を増し、危機に突き進んでいる。
日本民族の勤勉性を持って、これまで我々は経済活動に邁進し続けてきたが、後ろを振り返ってみるとその努力の多くはむしり取られて、全く報われていない。一体どうしてこうなったのかと、思いをめぐらす。それは、この先国力が疲弊し老朽化していく日本を、何とか活性化し、復興させるための「日本の勝ち筋」を阻害している原因を探求することと同根である。
その大きな病原の一つに、澱んでしまった日本の「官僚」組織がある。
「官僚」とは国家公務員1種の資格を持つ国家公務員の事。本来、国を指導する立場にある公務員の事である。またノルウェイの国家予算と同じ予算を持つ東京都。その15兆円を操る上級役人も官僚と同じ、あるいはそれ以上に絶大な権力を持つ。
彼等官僚、上級役人は、「税金をベースにした賃金」を受け取っている公僕なのだが、賃金が保障されている組織に居据わることで、何時しか居丈高で、感覚が麻痺してしまう。使命感がいつの間にか、既得権を死守する立場となり、自己保身に長け、歪な人間になってしまう。頭は切れるが、哲理を持たない人間が権力を持つと、殆どこうなる。
あらゆる事は、現場で起こっているのだが、現実を見ずに、言い訳、身の保全を専一に考えている彼等に、我々はせっせと「税金を支払い」「既得権益を増大」させるために頑張っている。何という皮相な現象か!! 
「流れる水は腐らず」と言うが、組織が既得権益の順送りで構築されているので、まさに真逆の「腐れ水」となっている。殆どの人間達が権力を手にするとこうなる。
結局、脈々と続く官僚達の「悪知恵」は、自分たちに都合の悪い、権力をそがれるような通達、法令など作られることはない。動きがとれなくなってしまった。志ある優秀な人でも、この組織のスパイラルに取り込まれると、忽ち人間としての矜持をなくしてしまう。
この組織は、戦後、ろくな改革もせずに、白アリの組織のように、既得権益をフルに生かし、「天下り」と称して、様々な「巣」を増殖してきた。財界、政界の指導者、与党領袖、腐敗した御用学者、彼等に阿るマスコミ。彼等の力を借りないと、立場を守り切れないのだ。一方、恩恵にあずかれない外野勢力は、遠巻きにして吠えるだけで、意気地も無い。
残念ながら戦後75年、この澱を取り除くには、遅きに失した……かもしれない。
「事の本質は何か」と考えることを怠った指導者が何十人いても、言葉遊びをするだけで、何も決まらない。「事の本質」をじっくりと質す、戦後歴史・思想教育は大失敗した。一方で「自虐史観」を正さねばと主張し、一方でそれを批判して「歴史修正主義」という。どちらも間違った表面的な論議だ。彼等双方に確たる物差し、それも柔軟な「物差し」がない。

今回の「コロナ禍」によって、テレワークシステムなど、働き方は確かに大きく変わろうとしている。しかし、その働き方はあくまでも、ITシステムを使った(いや、実際はそのシステムに使われているだけなのだが)表層のテクノロジーの問題に留まり、日本社会の裏側の構造変化はこのままでは起こりようがない。「事の本質」を哲理・哲学・宗教から学び、自らの歴史観・宗教観を持っている人達が一人でも多く増えない限り、ITシステムを自家薬籠中のものとして、有用に使いこなす事は出来ないし、真の社会変革は、彼等「事の本質」を知る者にしか成し遂げられない。
戦後75年、それらを「学ぶ機会」が無く、「自己哲理」とは何かとその大切さを知らずに過ごしてしまった方達は、どうしていいか判らないはずなのだ。20年前に「心身経営学講座」を開いたが、その真の意図は伝わらなかった。実力不足故の挫折だったが、今でも忸怩たる思いが残る。

私なりに、何をしたら良いか、私に何が出来るかと、必死になって考えている。
「コロナ禍」によって、またグローバル化の弊害によって、このままでは、この理不尽はさらに増大し続ける。
理不尽な立場に置かれて頑張っている方々へ、物書きとして何が出来るか、当たり前のことを当たり前に考えられるような「実践思想」も確立していきたいと思っている。
現在いろいろと人づてに「お願い」もしている。肝心な、執筆も纏めている。
「秋の遠音」で、長編四季四部作・歴史時代小説シリーズが完結して、少しは休みたいなと思っていたのだが、正誤表の作成や、コロナ禍のなか、机に向かわざるをえなくなった。お陰で、延び延びになっていた、「冬の櫻」改訂新版・全4巻を7月末にアマゾン電子版として上梓できそうだ。 またついぞ日の目を見ることはないなと思っていた作品、6巻シリーズを電子書籍として9月前半にはアマゾン電子版で上梓する事にした。作家としてやるべき事をやらずに死ぬわけにはいかない。香港、中国、シンガポール、東京を舞台にした、ノンストップ・エンタテインメント作品だ。 20年前に脱稿したのだが、過激すぎ、リアルすぎ、その他にも諸事情あって、これまで正式に発表できず、少しずつ手直しをしてきた作品だ。
しかし、この物語は、読者の興味を引きつける抜群のパワーを持った作品だと自負している。誰もが知りたい「香港・中国」の33年前からの3年間。長い間上梓出来なかったその理由も、読んで頂ければわかるだろう。
日本の作家も、こういう物語を書く奴がいるのかと驚きながら、息つく間もないストーリーの展開を楽しんでほしい。                 2020年7月11日  春吉省吾
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「冬の櫻」全面改訂にあたって  VOL.67

●今年は、花見も思うように出来ませんでしたが、夕方の散歩で、いいショットがとれました。満開とおぼろ月。2020.4.4

●一見、フンドシのようですが、新作シリーズ「初音の裏殿」の「ネタ巻(物)」です。ここに時系列に人間関係を書き込んであります。7メートほどあります。随時、新資料の項目も書き込んでいきます。シリーズ物創作ならではの長巻物です。写真には記載してある文字は消してあります。春吉の秘策ですから!
2020.6.10

今から9年前に春吉省吾の「四季四部作・歴史時代小説」の最初に刊行したのが「冬の櫻」でした。 超長編歴史時代小説の最初の作品で、誤字脱字も多く、読者の方々には大変ご迷惑をおかけいたしました。(今も、ご迷惑をおかけしていますが、何分、全て独り作業なので、ご容赦ください)
この度「冬の櫻」を全面改訂・修正し、電子書籍として、4巻に分けて、アマゾンKindleに電子書籍として出品することになりました。(手続きがあって7月末になります)
EPUB変換、Kindle/mobiに変換して、アマゾンKindle版として上梓するのは、年寄りの頭の体操としては、大分ハードでした。 
しかし、自画自賛を承知で申し上げますが、今回、改訂しながら「冬の櫻」という作品を精査しました。誤字脱字を正し、言い回し、歴史的事象を一部修正すれば、この作品は時代をまたぐ名作になると思っています。
初版に際しては、全日本弓道連盟の名誉会長・範士十段の鴨川信之先生に
「千巻の書を読むに勝る」
と仰ってていただきました。また私の居合道の師である、全日本剣道連盟・剣道教士七段、居合道教士七段の中村親夫先生には
「中学の時に読んだ吉川英治さんの『宮本武蔵』と同じ感動を受けた」
と激励を受けました。
それから現役の弽師の方から(お名前は伏せます)
「この冬の櫻をぜひ、全日本弓道連盟の弓道副読本にすべきだ」
という、賛辞も頂きました。
その後、新刊を上梓しても、思いのほか売れなかったり、一人作業の拙さで、誤字脱字などの後処理で、落ち込んだときに、上述した先生方の「冬の櫻」の激励が執筆の大きな励みとなりました。
しかし一方で、評論家諸氏からは、
「多種多様の生のドラマを取り込んだ展開は作者の筆力の証であるが、弓術の神髄を核にした物語としては、もう少しテーマを弓術に絞った方が良い」
という意見や
「三人称客観小説の体裁を採っているが、例えば本作品の見所である弓射の場面にしても、特定の人物の視点で開示した方が、臨場感と迫真性が増す可能性も考えられる」
という批評がありました。その意見の何れにも反対です。
最初の意見に対しては、私の長編四部作のテーマの根本は、主人公の持つ個性、ここでは弓道の神髄を獲得していくまでの物語ですが、同時に取りまく時代の雰囲気もしっかりと表現したいという、従来の先輩作家がやらなかった試みをしています。ですから、その批評に対しては、
「『歴史時代小説』とはこういうものだという評論家諸氏の固陋を破り、読者の方々には、その物語の背景にある正しい歴史認識に基づいた『大河小説』としても楽しんで頂きたい」
というのが、春吉省吾の歴史時代小説の定義です。
また、後者の意見に対しても、
「そもそも、小説手法は、一人称、三人称を混在させても、読者が違和感なく、楽しむことが出来れば良いので、その手法を承知の上で使い分けする」
というのが、私の作家としての立場です。
出版の形態は「単行本」であれ「電子書籍」であれ「文庫」であれ、一人でも多くの方に、四季四部作・長編歴史時代小説のシリーズの改訂新版をお読み頂きたいと願うものです。
今回は、「電子書籍」で、全面改訂してみようという試みです。
それにしても、日本の出版流通業界は、2周遅れ、下手をすれば3周遅れの業界です。
失礼だが、読者も直ぐに結末だけを追いかけてしまうことに慣らされて、短編、中編しか読まなくなった結果、「日本社会」の逼塞感、無責任主義の根本を考えられなくなっています。事象の表層しか理解出来なくなり、刹那的で、感情的で、物事の本質を、自分の頭で考え、捕らえられないのです。「国民がアホになっている」(武田邦彦氏・6.16日、YouTube)というのは、日本の「出版村(出版社・流通・作家と、それぞれのなれ合い組織)」の責任も大きくあるのです。
           2020年6月23日  春吉省吾ⓒ          ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
四季四部作・長編時代小説シリーズ完結記念として、ノーク出版ネットショップから「秋の遠音」(上・中・下セット)特別価格〈期間限定〉で販売しております。春吉省吾の書籍は、ぜひ「ノーク出版ネットショップ」 からお求めください。
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