初音の裏殿第二巻「破天荒解」読者からの感想 VOL.113

駒場東大銀杏並木
明治神宮・中央道場
代々木公園・井の頭通り銀杏並木
公園の樹木が、赤・黄・緑。配置は信号と逆だね。

はじめに

 読者からいろいろな感想を頂きました。今回は少し変わった取り上げ方で、人生の先輩方のお話をしながら、「破天荒解」の感想を御紹介させていただきたいと思います。
 あわせて初音の裏殿シリーズが、どのような目的をもって、書き進めているのかを、読者の方々や、まだ未読の方々に、しっかりと告知をしたいと思っております。従来の「歴史・時代小説」と言う括りからは、全く視座の違う日本の大河小説を目指しています。

渡邊定夫先生のことと「感想」

 まず最初は、私どもの弓道の同好会の仲間の渡邊定夫先生からの「感想」を御紹介致します。東京大学名誉教授で、今年の9月に卆寿(90歳)を迎えられました。元気で週2回、我々と一緒に弓を引いておられます。大きい身体で、矢勢もあります。大学の先生臭さは微塵もありませんし人格者です。東大の先生は、大分変わった、難しい先生が多い中で異色です。
 かつて「先生、東大の名誉教授って何か特権はあるのですか」と私が尋ねたことがありました。
 「い~やあ、世間で思われているような特権はありません。図書館や施設を利用するのに役立つ程度です」と実に屈託がないのです。
 渡邉先生は、東京大学工学部建築学科から、同大学数物系大学院を卒業された、丹下健三先生のお弟子さんです。日本のアーバンデザインの先駆者で、今、売れっ子の隈研吾さんの大々先輩にあたります。

 「破天荒解」をお読みになって渡邉先生は「十五歳の伊之助の活躍は素晴らしいですね。まだ諸外国との交流がない時代、科学的な発想でものを作りあげていくキャラクターはいいですね。彼の今後の活躍が楽しみです」と鋭い。
 「秋の遠音」の上・中・下の長編小説をお読み頂いた時も「多くの登場人物を纏めて物語にするのは大変ですね」と仰った。私はその言葉をこう解釈した。つまり、都市計画や町作りのグランドデザインの纏め役としての渡邉先生は、そのプロジェクト毎に様々な人間と関わり成果を出す立場でした。
 主人公の吉村春明は、多くの人物と関わって、諄々と成果をあげていくのですが、渡邉先生の感想は、その大変さを実体験された声だなと、私は受け止めております。
 いつも私のブログをご覧になって「毎回楽しみに読ませてもらっています。特に、私のような理工系の思考プロセスと、文科系(私は「文科系」)の違いが、よく分かって、ためになります」等々、指摘もユニークです。
 長く丹下門下で、建築学会に携わっておいでで、新宿高校出身、渋谷区在住なので、新宿渋谷などの戦後の激しい変り様を、生活の場と都市計画の双方からご覧になっておられます。 私の知らない裏話など沢山御存知です。ここでは言えないことも伺っていますが、口外禁止です。

嬉しいメール

 先日、メールをお読み頂いた返信に、過分な褒め言葉を頂きました。嬉しくなったので皆様に御紹介します。
 「何時もながら佐藤さんの世の中を見る目、それに対応する生活姿勢、感心の極みです。
 現在世界は経済的に、またそれに引き摺られて政治的に大変革の時代に入っているようです。残念ながら、我が国は時代の流れに乗り遅れ30年前に遂行した先進性を失っている様です。老齢化した社会でも出来る生産技術開発や実施方策が求められている様です。
 何はともあれ、我々老人は日々の暮らしに充実感を持ちたいものです。以上感想と御礼です。渡邉定夫」
 渡邉先生の健康長寿の秘訣は、分析力の確かさと、それを生かすプラス思考にあるようです。みなさんも参考になさってください。

佐藤嘉一さん・私の全作品を知る読者です

 次に、私の全ての出版物やブログをお読み頂いてる、佐藤嘉一さんの感想を御紹介致します。ひょんな出会いから、何と、私の母方の家系と関係があるということで、実家の母を訪ねて来られたこともありました。
 また「永別了香港」はAmazonKindleのみの上梓で、「紙の本」になっていないと申し上げたら、わざわざKindleをお買い求めになったと言う、誠に有り難い読者のお一人で、本当に執筆の励みになっております。
 月二度ほど、随筆と一緒に、メールを読者や知人の方に、差し上げていますが、毎回必ず、返事を頂くのは、佐藤さんお一人です。それも内容をしっかりお読み頂いての返信ですから、情報提供のし甲斐があります。このメールは、日本のメディアでは殆ど報道されていない情報や、資本提供が偏っていない、世界のシンクタンクの情報・論文などから紹介しています。新聞社などの有料記事よりも、遙かに資料として役立つはずですが、プロパガンダ新聞の情報の方が有り難いようです。どうも「春吉省吾」という名が、メディアに知られていないため、甘く見られるようです。しかし、NHKをはじめとしてマスメディアが、まともな情報を提供していますか? わざわざお金を払って、「偏向報道」を掴まされ、その挙げ句「生存権」まで脅かされています。私のメールの引用記事をお読みになった方が、「長生き」しますよ。

その佐藤さんに、ノーク出版が助けられたことがあります。

 2020年の6月に長編歴史時代小説「秋の遠音」上・中・下の3冊を同時に上梓したのですが、その中巻が、製本屋さんの大チョンボで、頁が入れ替わっていたのです。決して起こりえないはずのミスなので、頁の細部まで検品せずに予約のお客さんや流通に発送しました。ところが、数日して「先生、頁がズレています」と言う、佐藤さんのご指摘があり、「エッ」と顔面蒼白になりました。勿論、印刷・製本屋さんには、急遽刷り直しをさせました。
既に送ってしまった方々へのお詫びの手紙や、流通への販売停止や再印刷の手配など、佐藤さんのお陰で、素早く処置することが出来ました。有り難かったです。
作家、春吉は、並の作家ではやらないこんなことまで一人でやっています。VOL.107で、「ギネス級」と自虐的に自讃したのは、こんな「下作業」までやる作家は、世界で私一人だからです!! 大分前置きが長くなりました。

 「ご著書 初音の裏殿・第二巻・拝見いたしました。一読させて頂き爽やかな展開に心打たれております。引き続き、二度目の読み直しに際しては登場人物相関図等を頭に入れながら読み進めたいと思います。なお、私が感じいった一カ所は、p162『其方の好きにせよ』の一言です。
 父金吾がどう言うのか、頭を巡らせていましたのでさすがと感服致しました。〈お読みになっていないと判らないでしょうが、父と子の蟠りを感じながら、大きな愛情で父省吾が、金吾に放つ言葉です〉
あとがきも拝見しました……。初孫の「〇」ちゃんの健やかなご成長をお祈り申し上げます。ご自愛の上、第三巻を楽しみにしております」
〈「孫」と接する時は、幼いながらも、これからの厳しい環境を担っていく日本人として、祈りにも似た感情と、厳しさで向き合って行こうと思います。でも無上に可愛い。春吉〉
佐藤様のご健勝をお祈り申し上げます。

ややまひろしと屋山外記

 次に、福島市在住のややまひろし先生の感想文の一部を御紹介いたします。先生は漫画家で、エッセイストで、漫談もプロはだしです。昭和8年(1933年)のお生まれで、長く人工透析をされておられます。先日体調を崩されて緊急入院されたようですが、そんな中で「破天荒解」の長文をお読み頂き感想のお手紙を頂きました。ご快復をお祈り申し上げます。
 さて「屋山(ややま)」という名に、私の読者であれば、直ぐにピンと来られたと思います。「秋の遠音」の副主人公の一人、下手渡藩家老の屋山外(げ)記(き)がおります。そのややまひろし先生は、屋山外記の曾孫さんです。ちなみに評論家の屋山太郎氏とは従弟の関係です。
 下手渡藩藩主、立花種恭が政府側に付いたため、奥州列藩同盟を主導する仙台藩の知ることになり、陣屋が襲撃を受け、焼け落ち、領地が蹂躙されました。国家老の外記はその責任を重く感じ、維新になっても仕官をせずに、野にあって下手渡の再興に尽くしたのです。
男の中の男です。外記は主人公の吉村春明とは幼なじみで、春明を兄と慕い、時に春明が挫けたときは彼を鼓舞しました。
 下巻の最後に、春明が外記の墓に詣でて、春明自作の漢詩を読み上げるシーンは、これぞ長編時代歴史小説の醍醐味だと、勝手に自讃しています。
駄弁はこのぐらいにして、ややまひろし先生の感想の一部を御紹介します。

正鵠を得た感想

 「早速、読み始めましたが、私には経営学の本だと思って読ませて頂いております。ほかの作家では到底書くことの出来ない企業経営の神髄が述べられていると感じました」
〈この後、ご病気のことが書かれておりましたが、省きます〉
 「先ず主人公の金吾を大企業の社長と考えると、会社の展望、経営方針を考えるその必要な情報を的確に掴んでいるその速さが見事である。核となる情報は自分の胸に納め、経営方針が決まったら重役から末端の平社員まで喜んで働けるように手配する。その人間的魅力は素晴らしい。
 会社の財政はこと詳細に述べられている。利益率の高い商品をどのようにして手に入れるか。白砂糖、高麗人参など大量に仕入れ、その販売先を的確な方法で売ることを決め、莫大な利益を得ることを判断して実行している。
 それと昔の小説では考えられぬほどの膨大な登場人物。それが複雑にからみあって大きな立体物として、変化する世の中を津波のように進んでいく。全く考えられない大河小説。
これでは並の編集者は尻込みするでしょう。出版は無理ですと逃げだすに違いありません。春吉先生だから出来る難事業だと思います」〈後略〉

 ややま先生のご指摘は、実に正鵠を得ています。また、ご指摘のように「膨大な登場人物」ですが、これが私が一番危惧するところでした。
 はっきり申し上げると、従来の先輩先生方のお書きになった大河小説や幕末の歴史小説に慣らされてきた方々にとっては、「登場人物が多くて難しい、人間関係を把握するのに骨が折れる」となるはずです。間違いなくそうなります。それを承知で執筆していますから……。

従来の歴史小説の限界

 戦後の経済的な高度成長によって、一億国民総中流意識を持った日本人が、物質的満足感だけでなく、自らの働き甲斐や、日本人のアイデンティティーを満足させる「歴史小説」が求められました。そのためには誰もが難なく読めるようなレベルの物でなければなりませんでした。
 筋立ては単純で読みやすく、登場人物はできるだけ少数にしなければ、多くの国民が読む「新聞小説」の役割は果たせませんし、新聞小説による購買拡大も出来ません。
 しかし、どうでしょう。それが故に、日本人は物事を深く考えることをしなくなり、主人公を情緒的に英雄化し、いつの間にか、歴史の表側しか見られないように「慣らされて」しまったようです。
 日本を取りまく世界の環境はそんなに単純ではないと言うことが、目覚めた、2割弱ほどの日本人は、判り始めましたが、戦後のGHQ政策による徹底した「日本人教育」のその効果は絶大で、精神の根幹に楔を打ち込まれたように、殆どの国民は目覚めていません。ちなみに、追加接種率世界一(2022.11.10現在)。まずは行動を起こすのにも、睡眠状態から覚醒することが必要だが、睡眠剤を嬉々として打っている日本人が8割を超しています。
 そして悲劇は、日本の文化、知力をリードしなければならない「知識人・識者」の多くが、重層的な考えが出来なくなってしまったことです。
 日本学術会議などの面々に見られるように、意地汚いDoubleStandardを持ち込み、ずる賢く、既得権益を死守しようとしています。御本人達は、それに全く気づいていないことが悲劇なのです。
平板なものの考え方しか出来ない(自分の行動を擁護するためにネガティブにしか物事を考えられない)     学者は、いったいどんな勉学を積んできたのか、私には理解できません。日本の税金補助を受け、教職者として生活してきた学者が、あろうことか、ミサイルを我が国に向けている中共に軍事技術情報を横流しして日本を売っているありさまです。

生存権を守るには、真の教養の醸成のみ

 人間は善にもなれるし悪魔に魂を売ることも出来るし、味方が敵に豹変し、敵の敵が味方になる事もあります。人間関係の複雑さ、利害関係の複雑さの歴史を知らなければ、この先、日本人の生存権は決して守れません。
 戦後、日本を統治してきた、全ての政府は、国民の生命と暮らしを守ることに真摯に向き合っていません。まるで世界を牛耳る金融資本家の御用聞きのようで、国民を人質にしています。その世界の金融資本家たちの、ずる賢さ、冷酷さは、ほとんどの日本人は知りません。
 その恐ろしさを知っている日本の政治家たちは、決して彼らには逆らいません。自己保身に終始し、奴隷のように従います。そして睡眠状態の日本人から徹底して絞り上げます。30年働いて、実質賃金がマイナスという世界最悪の政治・経済政策をしていて、怒らない国民。政治家も財務官僚も、日銀も気楽な稼業です。日本国民は嘗められたまま、いまだに眠っています。
 しかしこの体制は戦後に始まった事ではありません。
 幕末日本に圧力を掛けた、イギリス、フランス、ロシア、アメリカの列強が、日本を植民地化しようとし、それが無理と判ると、どのように利を貪ろうとしたかという、ペリー来航以来、170年近く、日本に張りめぐらされ、今に続く、「隠れた裏舞台」があるからです。
 これまでの幕末維新の歴史小説では、それらは具体的に述べられていませんし、例えば、坂本龍馬や小栗上総介忠順が、イギリス、フランスなどの公使や政商とどのような交渉をしたのか、体系的に語られません。(「秋の遠音」では中巻・下巻に記載)それは、無知による屈辱的交渉でありました。情報無知がその後の日本をどれ程窮地に追いやったか、我々は知る必要があるのです。日本の為に世界はありません、彼ら西欧列強の金融資本家達のために「日本」は利用され、残念ながら、さらに毟り取られています。

もうそろそろ気がついてもいいでしょう

 日本人を食い物にしようとしているグレートリセット(名前は立派そうだが、全体主義者です)と金融資本家の権謀術数、欲得だらけの悪魔のような相手にどう向き合うのか。
 このままでは太刀打ちできません。随分と遠回りと思っても、日本人の寄って立つ精神のよりどころを学んで自家薬籠中のものにしておかないと、日本人は、簡単に分断されます。本当に簡単にです。既得権益者と、欲の塊の「政界・官界・財界・労働界・文化界」(それに加えるとすれば、「宗教界」)をそのままにしておけば、屈辱的で自由のない未来に追い込まれます。中共も日本本土には、軍事力侵攻などしません。既に「経済侵攻」されているではありませんか。アメリカを中心とした覇権国家と、敵対する中共の板挟みですよ。
 「俺はもう、長く生きないから、そんなことはどうでもいい。あまり考えずに、美味いものを食べて人生終わりたい」
 そういう無責任な老人は、GHQに仕込まれた、フランクフルト学派の「隠れ」修正共産主義者です。自分で自覚していないのですよ。「愚か者、恥よ!!」と言いたいですね。

実は遠回りのようで、一番の近道だ

 日本人の寄って立つ精神のよりどころとは、例えば、古事記であり、万葉集であり、源氏物語であり、日本的な仏教やこれまた日本的な儒教の教典の中にあります。
 グローバル化で、世界金融資本の圧力の前に、日本人としてのアイデンティティーを持たない人間は、簡単に潰されます。「武士道」だけでは戦えませんよ。縄文からの精神性がなければ、とてもとても、彼らには太刀打ちできません。
 それは20数年前から、私が主張している「心身経営学」の根本理念です。

 しかし殆どの日本人は、「日本人の基礎となる精神性」を自覚していません。教科書ではその欠片しか、我々に示していません。
「でも、今から、源氏を読むなんて……」という方々には、初音の裏殿シリーズをお読み頂いて、そのエキスを、楽しみ、興味があれば、原典を取って頂ければいいと思うのです。つまり日本的古典や教典を日常にどう生かすかという手法が、「初音の裏殿シリーズ」に含まれているのです。
 歴史小説の中で、何故「教養的なこと」を記述するのか、それは日本人の感性の有り様を学ぶことは、日本振興のために、必須なことであるからです。これをお読みの賢明な読者はおわかりでしょう。

初音の裏殿シリーズを読むことだ

 昨年8月に発刊した、第一巻の「怪物生成」では、その天才的知略と、天皇家の血筋を持つ18歳になるまでの金吾の異能の片鱗を読者に披瀝しました。金吾が「怪物」と称されたその経緯が綴られています。そして冒頭の記述から、とんでもない物語が始まるという予感がするはずです。金吾を日本人の     「血」を代表する、天才として誕生させました。そしてその視座は世界を向いています。
 今年9月末に発売した第二巻の「破天荒解」では、金吾が、宇良守藩の家臣と領民、そして宇良守家を取りまく様々な組織の者達を一つに纏め、相互の協力で強力な情報組織を作るその第一歩を踏み出す迄を記してあります。目的達成のための戦略・戦術を着実に具体的に実践していく金吾の行動力を記述しました。
 企業経営で悩む方々や、起業をしようとしている方々には、MBAの机上の論議よりも遙かに役立つはずです。
 そして、現在執筆が始まった第三巻「愛別離苦」では、金吾の事業計画は着々と進み、藩の財政は豊かになりますが、金吾に様々な苦難が押し寄せます。どん底に落ちるかも知れません。はたして金吾はそこからどのように這い上がり、人間的に更に大きくなっていくのか。新しい視座で幕末を描く、「日本人の大河小説」をお楽しみに。
       2022.11.12         春吉省吾

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●YouTube春吉省吾チャンネル(「冬の櫻」「秋の遠音」「怪物生成」の動画など)〈作品のイメージ動画発信〉

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